やはりSARS大流行は空気感染が主体であった
2004年 04月 22日
厚労省の一般的な見解は、“飛沫による感染が主たる経路と考えられるものの、手指や物を介した接触感染、糞便からの糞口感染、空気感染の可能性なども、完全に否定することはできません。”(引用)でした。このWebで、空気感染がもっとも恐ろしいにもかかわらず、まず、“おまえさんたちは、心配しなさんな”から始まってるようです。
昨年12月のLancetに例のSARS疑い例を日本政府・厚生労働省が公表しなかった問題が掲載されてますが、マスゴミも、役人には甘いようで、新聞・てれびなど全く報道無しでした。“4-7月に4例の疑い例があったのに、この情報を2次伝播予防のため努力を払おうとせずに公表しなかった。commnity preventeive strategyをぶっこわすもの”としてます。この件に関して、厚労省は弁明をしてるのでしょうか。今後また同じように二次感染予防という立場だと、弁明できないアホな対応だとおもうのですが
Correspondense :Availability of SARS information in Japan
※今回、SARSウィルスの大流行では、空気感染が主だったという証拠が報告されてます。
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SARSウィルスの空気感染の証拠
Evidence of Airborne Transmission of the Severe Acute Respiratory Syndrome Viru
NEJM Volume 350:1731-1739 April 22, 2004 Number 17
SARSウィルスの伝播の様式に関して不確かな所がある。香港でのSARSの大流行に関して時間的・空間的ひろがりを検討。気流のダイナミクスをりぃようしtモデル化して、三次元の拡がりとの関わりを検討。
流行のカーブは流行の発端が共通であることを示唆。五例を除く全員が7つのビル(A-G)に住み、index patientとSARS患者の半数以上がビルEに居住。ビルEの中階以上の居住者は特に低階の住人より危険性が高い。このことは中階から発生したウィルスを含む暖気が上昇気流となったことと一致。
ウィルス濃度をマッチさせた単位あたりのリスクがmultizone modelingを用いたものと一致する。ビルB、C、Dのリスクの分布は、コンピューターで流体モデル化した三次元的拡がりの予測とよく一致する。
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◆SARS肺炎より非肺炎が存在し、それが流布していた可能性がという非常に怖い話ではないでしょうか?厚労省は、熱発患者以外感染しないというスタンスでisolation(隔離ということばはちょっと・・・)がなされていたわけですから、罪深いです。
Relative rates of non-pneumonic SARS coronavirus infection and SARS
coronavirus pneumonia
http://www.thelancet.com/journal/vol363/iss9412/full/llan.363.9412.original_research.28962.1
Lancet Volume 363, Number 9412 13 March 2004
Western-blotで、SARSのnucleocapsid protein と spike polypeptideが高い
immunogenicであり、IgG抗体が100%の特異性で、感度94.3%であった。
これを用い400名の健常者の血液を調べたところ、3名のSARS流行時で陽性1
31名の非肺炎小児科入院患者のうち1名が、2つのwestern-blot assayで陽性
と判明。
非肺炎SARS-CoV感染率と香港のSARSの割合が異なることは、非肺炎感染が
SARS-CoV肺炎より多く存在していたかもと示唆がされ、SARS患者とあきらかなコ
ンタクトを有しない患者のSARS-CoVについても説明できるのでは・・・
◆NEJMにトリインフルエンザ例がearly releaseが報告されています。
下痢症状があるのが気になりました。SARSの時のように、Outbreak初期とその後
臨床症状が若干変わってきたこともあり、一定ではないのかもしれませんが
ベトナムのトリインフルエンザ(H5N1)10例
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa040419
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顕著な臨床的特徴は、熱発、咳嗽、下痢、息切れなどの重症のインフルエンザ症
状を有することであり、暴露から発症までの潜伏期間は2-4日、下痢は10例
中7例
特徴的検査データは著明なリンパ球減少と血小板減少、CD4:CD8比の逆転
生存者ではリンパ球数とCD4:CD8比の改善がみられた。
肝機能、腎機能障害と糖異常が6例にみられ、全員若年者か小児
1997年の流行にくらべ今回の死亡率はかなり高かった。
症状発症前の週に9例中8例があきらかな罹患者との接触があった。6例は罹患
した鶏やduckをあつかっており、直接のトリ-ヒト感染と考えられる。
臨床症状(熱発、咳嗽、下痢、呼吸苦、呼吸回数増加、リンパ球減少、レントゲ
ン異常)と感染源との接触既往が重要
Oseltamivirは5例に投与され、4例が死亡、投与開始が遅すぎた可能性がある。
経口Ribavirin投与は無効とおもわれた。
by internalmedicine | 2004-04-22 10:22 | 呼吸器系