無症候性の妊娠女性へのC型肝炎検診はcost-effectiveでない

日本というのは、検診を行うのにコスト解析を行わず、施策を決定するのが慣わしとなっている。無感染国家を目指しているようである・・・それは、BSE問題も同じなのだが、どうも、日本国内からBSEプリオンをゼロにしないと気が済まないようである。

感情論とは別に、日本国内の財布とあわせ、施策を議論するのが不得意、といより行政官の施策責任をとりたくないという感情的選択と、弱者というラベリングによる世情・・・いろんなものがあいまって施策を惑わすのであろう・・・

C型肝炎に関しては以前も取り上げた

妊娠に於けるC型肝炎の検診はコスト、費用から考えて意味がないという論文が発表になっている。日本での現状とは別なので、慎重な検討が必要だろう・・・

Routine hepatitis C virus screening in pregnancy: A cost-effectiveness analysis
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American Journal of Obstetrics and Gynecology
Volume 192, Issue 4 , April 2005, Pages 1153-1161
http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6W9P-4FWFR53-13&_user=10&_handle=V-WA-A-W-YC-MsSAYWW-UUA-U-AAACEZUCYA-AAABCVABYA-VCDUUAZY-YC-U&_fmt=summary&_coverDate=04%2F30%2F2005&_rdoc=31&_orig=browse&_srch=%23toc%236688%232005%23998079995%23591738!&_cdi=6688&view=c&_acct=C000050221&_version=1&_urlVersion=0&_userid=10&md5=dbcaa343fda66715f360dffaefe45d16

妊娠中の患者にHCV検診はコスト効果的なのか

【方法】
Markov analysisを3つの方法に適応(C型肝炎感染無症候性低リスク妊娠女性):
(1) 検診行わない
(2) 検診と進行性疾患治療
(3) 検診、引き続きの進行性疾患への治療、一過性の出産に関わる感染への待期的帝王切開
ライフタイム・コストとQALYを母・子供で計算

【結果】
C型肝炎検診・引き続きの進行性疾患の治療は未検診群に比較してコスト高・効果不足という面が目立つ。
$108のコスト増加、付加的有効性の減少:0.00011 quality-adjusted life years.

検診せず群に比較して、検診、治療、帝王切開のmarginal cost/effectivenesは$117 と0.00010 quality-adjusted life years、cost-effectiveness ratio は$1,170,000 / quality-adjusted life year.
【結論】
無症候性の妊娠女性へのC型肝炎検診はcost-effectiveでない
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by internalmedicine | 2005-04-22 11:20 | 感染症  

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