肝機能検査ALT(GPT)、AST(GOT)も30程度以上から異常

韓国からのデータで、ALT(GPT)が40以上で異常というのはおかしいということで、これはC型肝炎などでいわれていたことです。むしろ日本の医師では常識では・・・?

日本でも、26以上で引っかけなければならないというろんぶんもありますし・・
参考)。

どこをもって正常・異常の区分けとするかというカット・オフ値についてはこのへんで研究の羅列があるようです。

http://www.jsh.or.jp/guide/guide.htmlでは、“肝機能正常例(GPT正常例)の対処としては 基本は定期検査のみで十分である.GPTが異常となり,肝病変が進展するようになってから治療を開始する.例外的には,C型肝炎で抵ウイルス量,感受性ウイルスを対象にIFN投与を行うこともあり得る.”とかかれておりますが、カットオフ値に関してはかかれておりません。

#誤字がそのままなのはおいといて・・(おそらく 抵→低))


一般的な検査センターの異常・正常の値は
ALT:5~45
AST:10~40
あたりのpopulation-basedな統計学的数値が用いられているのでは無かろうかと思います。

これは非常に検診上危険です。なぜなら、“正常範囲であってもaminotransferaze濃度(35-40IU/l)と肝疾患死亡率は相関”するという病的な意義がAST、ALTとも30程度から生じるからです。


Normal serum aminotransferase concentration and risk of mortality from liver diseases: prospective cohort study
BMJ 2004;328:983 (24 April)
────────────────────────────────────
正常範囲であってもaminotransferaze濃度(35-40IU/l)と肝疾患死亡率は相関

・AST
<20IU/L未満との比較で、補正相対リスクは、
男性:20-29:2.5(95%CI 2.0-3.0)、30-39:8.0(6.6-9.8)
女性:20-29:3.3(1.7-6.4)、30-39:18.2(8.1-40.4)

・ALT
男性:2.9 (2.4 to 3.5) 、30-39:9.5 (7.9 to 11.5)
女性:20-29:3.8 (1.9 to 7.7)、30-39:6.6 (1.5 to 25.6)

ROC分析では、男性ではAST:31 IU/L、ALT 30 IU/Lがよい。
────────────────────────────────────

ところで、ALT,ASTとも肝機能検査ではありませんよ。これは細胞から逸脱した酵素をはかってるわけですから、現時点で肝臓の細胞がいかに壊れているかだけをしめしているにすぎない・・
総コレステロール、蛋白あるいはアルブミン、コリンエステラーゼ、ヘパプラスチンなどを総合的に判断しなければなりません。もっともこの真の肝機能はより進行した肝硬変に近い状態から肝硬変までの病態で考えるべきですけど・・・
ALT,ASTは肝関連酵素というべきでは・・・・

by internalmedicine | 2004-04-23 12:16 | 消化器  

<< いわゆる温湿布の効果の程度・・... 医師国家試験不適切問題j:医療面接 >>