COPD進行防止に役立つか: ヒストンの脱アセチラーゼ活性減少はCOPDで特異的?喘息も・・・
2005年 05月 12日
ヒストンが高アセチル化される染色体領域は遺伝子転写が活発に行われている領域と一致する。脱アセチル化されると負に制御と考えられる。
http://www.cyclex.co.jp/home/jkeyword2f.html
喘息だけ、COPD(慢性閉塞性肺疾患)だけの検査項目があればずいぶん臨床的に助かるに・・・と思いつつ、また、COPDの悪化は気道感染の悪化と不可避・不可分とおもいきや違うことがわかればちょっと違った知見ということに・・・ということで、前者はいまひとつでしたが、後者に関しては意味ある研究結果でした。
Decreased Histone Deacetylase Activity in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
http://content.nejm.org/cgi/content/full/352/19/1967
NEJM Volume 352:1967-1976 May 12, 2005 Number 19
ヒストンの脱アセチル化活性と、アセチルトランスフェラーゼ活性のバランスは炎症細胞活性の制御、抑制のメカニズムの一つと考えられる。
COPD、喘息、のう胞性線維症、肺炎などでヒストン・脱アセチル化酵素活性を測定したところ、多くの重症の状態でこの活性の低下が著しかった。COPDの病気進行するに従い、肺組織標本は、HDAC活性減少し、IL8メッセンジャー(mRNA)とLI-8プロモーターのヒストン-4アセチル化の増加が見られた。
HDAC活性は健常者に比べ、COPDで減少し、HDAc2、Hdac5、Hdac8のmRNA表出と、HDAc2蛋白表出は疾患の重症度増加とともに減少。
HAT活性は気管支喘息生検標本で増加。
HAT活性もEDAC活性も嚢胞性肺線維症、肺炎患者で変化せず。
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COPDの炎症過程は複雑。IL-8やLTB4といった好中球chemotactic mediatorやTNFαのような前炎症性サイトカインは喀痰中においてCOPD患者では正常人に比較して、増加する。
ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)とヒストン脱アセチラーゼ(HDAC)は核内酵素のファミリーで、染色体構造を調整する炎症性遺伝子の表出をmodifyする。
、内在性のHAT活性を有するcoactivator蛋白の転写による核ヒストンのアセチル化は、クロマチン構造に変化をもたらし、転写因子やRNAポリメラーゼIIをDNAへ結合させ、遺伝子転写を促進するものである。
HDACは肺胞マクロファージの前炎症サイトカイン産生の抑制に関わる鍵の分子であるということが示されたが、末梢肺の炎症性プロセスの程度がCOPDでHDAC活性の減少と関係あるかどうかを検討された研究であう。
・・・金と技術があれば、つぎやることは、副鼻腔疾患や、他のCOPDや喘息周囲疾患での検討ですね。そしてCOPD進行防止薬という可能性も・・・
by internalmedicine | 2005-05-12 14:46 | 呼吸器系