COPD患者の労作性呼吸苦に対する利尿剤吸入!
2004年 04月 24日
Effects of Inhaled Furosemide on Exertional Dyspnea in Chronic
Obstructive Pulmonary Disease
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 169. pp.
1028-1033, (2004)
COPD患者の運動に伴う呼吸困難感furosemideの吸入の効果を検討。
二重盲検、ランダム化、交差試験。スパイロとconstant-load exerciseテストを
施行。100mm VASを用い呼吸苦評価。
平均FEV1・FVCは有意に改善(p = 0.038 and 0.005)。
平均呼吸困難VASは吸入後改善:(33.7 ± 25.2 vs. 42.4 ± 24.0 mm,
respectively, p = 0.014)
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“呼吸困難を改善”
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/full/161/6/1963
という報告があり、治療法のなかなかないCOPDには、ほんとなら、良い知らせと
いうことになりますね。
でも↑をみると、今ひとつかなと考えたり・・・
以前、フロセミドの吸入療法は、喘息の治療法としてNEJMに以前報告され、わた
しも知識だけはあったのですが、その後の検討で、副作用はないものの、効果に
関していまひとつはっきりしたものが無く、“?”のままです。日本でも特定の
先生方が使われていると又聞きしているのですが・・あくまでAlternativeであ
り、ちゃんとした治療してからはじめてつかえってなもんで・・
http://www.chestjournal.org/cgi/content/full/123/4/1254
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furosemideのプロスタグランジン合成促進、Na-Caポンプブロックの結果、平滑
筋弛緩作用・神経のNeurokiniA誘起性反応の低下をもたらす可能性
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=12323126
・lysine acetylsalicylate moleculeから遊離されたlysinのcorticosteroid-sparing効果
・IL-6,IL-8,TNFの産生・遊離抑制効果
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=12115021
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などが、作用機序として考慮されております。
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も、ひとつ
ACE阻害剤の肺炎抑制効果は人種差あり!
Effects of an Angiotensin-converting Enzyme Inhibitor?based Regimen on
Pneumonia Risk
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/169/9/1041
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 169. pp. 1041-1045, (2004)
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中央値3.9年のフォローアップで、269名肺炎。
すべてでは、積極的治療で肺炎のリスクを19%下げたが有意差がなかった。
アジア人種で、有意に肺炎リスクを下げた(47%, 14?67%; p = 0.01)。
しかし、非アジア人参加者においては有意差が無かった(5%, ?27 to 29%; p =
0.7) (p for homogeneity = 0.04).
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※もし、喘息・COPDの患者さんたちがみられている場合、この治療法は現時点ではあくまで、論文報告だけですので、治療に関しては主治医などと相談してください。海のものとも山のものともわからない状況です。
by internalmedicine | 2004-04-24 11:29 | 呼吸器系