コレステロール値は季節変動する・・・その理由は・・・
2004年 04月 27日
一つの研究課題になっているようですね。職場検診など1年1回ですから、冬場の多く見つかり夏場はすくなくみつもってしまう・・・危険性がありますね。
その原因はというと・・・循環血漿量で説明されると結論づけてるんですが・・・ちょっと疑問なのと別の仮説があるようです。
Seasonal Variation in Serum Cholesterol Levels
Treatment Implications and Possible Mechanisms
Arch Intern Med. 2004;164:863-870
血中脂質の季節性変動があることは知られているが、冬場に多くは診断されているというようなそのメカニズムは不明。
脂質値の季節変動の縦軸研究を517名の健康ボランティアで行った。
12ヶ月間のデータ:基本統計・1/4期毎の身体計測、脂質、食事、身体運動、光暴露、行動パターン
男性平均総コレステロール値は222mg/dL、女性213mg/dL。季節変動の程度は男性で3.9mg/dL、12月がピーク、女性では5.4mg/dlで1月にピーク。季節変動は高コレステロール血症患者でとくに大きく、血漿量の季節性変動が観察された変動とほぼ比例している。
全体的には、夏より冬に被験者の22%以上が240mg/dlを越える。
この研究で、血中の脂質の季節性変動は、女性で大きく、高コレステロール血症患者ほど大きくplasma volumeによる変化を伴うことが示された。夏の循環血漿量増加は、温度や身体運動との増加と関連しているように見える。この所見は検診ガイドラインに含まれるべき。冬場の相対的血液濃縮の影響に関してさらなる研究が必要。
違う視点からの研究もされているようですが・・・
http://www-unix.oit.umass.edu/~seasons/mth-des-hypotheses.html
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1)コレステロール値の季節性変動はある
2)LDLとHDLの季節変動はパラレル:TGやapolipoprotein(Lp(a)を含む)もまた季節変動?
3)食事、身体活動の変化で説明できる部分もある。しかしながらこの要因と季節変動の相関を示す研究は少ない。
4)季節性変動はまた、ホメオスタシスとも関係。フィブリノーゲン、PAI-I、factor VIIと関連性があり、コレステロールの季節変動の程度とパラレル。
5)体重・BMI、血圧、心拍などの身体的要因の程度とパラレル。
6)生化学因子の季節変動(抗酸化、ビタミン、hemostatic factors)はmood、エネルギー、睡眠時間を含めた心理学的要因の変動とパラレル。食事・身体活動コントロール後、重要な要因として説明(すなわち..約25%)
7)季節性変動への影響の程度
個々の季節変化が少なければ少ないほど、コレステロールや身体的要因の変動は少ない。(具体的には室内の温度、戸外での時間、自宅・仕事場・移動時のエアコン使用、仕事場での窓の有無)
自然光、昼間の時間の長さが最も重要な要因で、50%以上のコレステロールの変動、気分障害がこれで説明がつく。
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これって、おもしろい仮説だと思います。
インスリン依存性糖尿病小児のHbA1cなんてのも季節変動あるようですが、
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Display&dopt=pubmed_pubmed&from_uid=2629718
by internalmedicine | 2004-04-27 11:58 | 動脈硬化/循環器