健康女性にアスピリン、ビタ・ミンEの予防効果証明できず、アスピリンと肺癌の興味ある関係
2005年 07月 06日
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Women’s Health Study・ランダム化2×2要因トライアル
1992-2004年39867のUS健康女性で45才以下でランダムに分けた検討。平均フォローアップ10.1年。
アスピリン(100mg)
天然素材ビタミンE(600IU)
1)低用量アスピリンの一次予防効果
Low-Dose Aspirin in the Primary Prevention of Cancer
The Women’s Health Study: A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2005;294:47-55.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/294/1/47?lookupType=volpage&vol=294&fp=47&view=short
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結論:大規模、長期トライアルにて低用量アスピリン100mg
・発症相対リスク
癌全体:1.01; 95%CI 0.94-1.08; P = .87
乳癌:0.98; 95% CI, 0.87-1.09; P = .68
大腸癌:0.97; 95% CI, 0.77-1.24; P = .83
肺癌:0.78; 95% CI, 0.59-1.03; P = .08
・死亡率
癌全体:0.95; 95% CI, 0.81-1.11; P = .51
部位別:0.70; 95% CI, 0.50-0.99; P = .04
例外:肺癌死亡率にて死亡率に有意差:RR, 0.70; 95% CI, 0.50-0.99; P = .04
フォローアップ時間とビタミンEとの相互作用は認められなかった。
2)自然由来のビタミンE一次予防効果(心血管疾患・癌)
Vitamin E in the Primary Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer
The Women’s Health Study: A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2005;294:56-65.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/294/1/56?lookupType=volpage&vol=294&fp=56&view=short
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主要な心血管イベントで有意でない7%のリスク減少(RR 0.93; 95% CI, 0.82-1.05; P = .26)
心筋梗塞(RR, 1.01; 95% CI, 0.82-1.23; P = .96)、卒中 (RR, 0.98; 95% CI, 0.82-1.17; P = .82)、虚血性・出血性卒中も同様
心血管死亡に対して、24%の有意な減少 (RR, 0.76; 95% CI, 0.59-0.98; P = .03)
癌全体(RR, 1.01; 95% CI, 0.94-1.08; P = .87)、乳癌(RR, 1.00; 95% CI, 0.90-1.12; P = .95)、肺癌(RR, 1.09; 95% CI, 0.83-1.44; P = .52)、大腸癌(RR, 1.00; 95% CI, 0.77-1.31; P = .99)に対して影響はなかった。
癌死亡に関して有意差無く、ビタミンEの総死亡率への有意な影響はない ( RR, 1.04; 95% CI, 0.93-1.16; P = .53).
自然由来のビタミンE600IU隔日投与にても主要心血管イベント・癌発生への予防に総合的な利点はない。総死亡率としては変化させないが、心血管死亡率は減少。
健康女性のたいして、ビタミンEサプリメントを心血管、癌予防に推奨することを支持できない。
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肺癌発生にアスピリン少量による死亡率抑制効果が認められたことが興味深い。肺癌発症後の予後改善効果がマクロライド系抗生剤少量持続で報告されていることとあわせ考えると興味深い。
by internalmedicine | 2005-07-06 09:26 | 医療一般