パワーリハビリから運動療法の論文のメモ


パワーリハビリ批判を以前おこなった(http://intmed.exblog.jp/1621589)が、実際におこなわれるようである。

現場に混乱を引き起こすのは必至。施行者側特に、運動指導に関する資格の問題が出てくるであろう。そして、運動に関するリスク層別化に関するエビデンスが後述の如くpoorである。

たとえば、ある老人がパワーリハビリをおこないたいと施設に申し出た。医師の診断書が必要である。となると、AHA・ACCガイドラインでは、冠動脈石灰化スキャン、ABI(ankle-brachial index)測定、頚動脈超音波、運動負荷心電図を無症状者でおこなわなければある程度責任がとれない。これは医療保険でやるのだろうか?これだけでも多額の費用が必要となる。さらに、事故を生じたときの保障問題は・・・。

介護というdenominaeで、老人医療を医療機関と乖離させようと厚労省の試みだが、実際に、心血管事故が医療施設外で生じたときに、迅速に心肺蘇生できる準備ができているのであろうか。そして、ある程度の蓋然性が推定されるが、それでも医療と切り離すつもりなのだろうか?。

心血管事故などをおそれて、実際の予防介護の場合、施設の方は、より強度の少ないトレーニングプログラムを組むであろう・・・そのときの有効性はあるのであろうか?

医療関係で公的な資格は、理学療法士だけである。他の運動指導の専門の資格は・・・行政指導型だけでも
・ヘルスケア・トレーナー(旧労働省認定):http://www.jisha.or.jp/
・健康運動指導士(旧厚生省認定):http://www.jafias.net/
・運動プログラマー(旧文部省認定)
など、さらに、ぁやしぃ団体の認定まで・・・その整理をなおざりにしている。


エビデンス・ヒエラルキーなど全く無視の、机上の空論と、業者依存・癒着型データに固執した空虚な介護保険構築のつけは、保険負担者・国民にくるのである。郵政や高速道路などにメディアの目は向いているが、利用者無視の役人や国会議員の浅智恵を放置している責任は一に国民、次くらいは医療関係者・介護関係者にも責任があるのでは無かろうか?なぜ、問題点に声をあげないのだろうか?
医療機関としては、上記ガイドラインにしたがって評価した事例以外は、主治医意見書に“冠動脈疾患・転倒に関する危険性につき否定できず、労作による致死的イベント・合併症に関して責任は持てない”という一文を書くことをおすすめする。組織防衛的な意味合いで・・・


予防医学に関する妄言、迷信は多く、運動療法も例外でない。そしてQuackeryも同様に多いと思う



運動療法に関して・・・ここ2日論文が目立ったので・・以下メモ記載してみた。
─────────────────────────────────

Cleaveland ClinicのReview
http://www.ccjm.org/PDFFILES/Fletcher8_05.pdf
運動療法は動脈硬化・慢性疾患の予防、改善効果があり、臨床医は患者に運動を勧める。不幸なことに、運動処方に関しては多くの障壁が存在する。運動療法を開始し、維持するために臨床医は特殊性を解決する必要がある。いくつかのガイドラインがその達成のため利用できるようになっている。

─────────────────────────────────

たとえばこの事例として

────────────────────
スタートする前にストレステストが必要か?

このテーマは議論があるところだが、中等度・軽度程度の強度の運動プログラムを開始する場合は、全員運動ストレステストをおこなう必要はない。
AHA・ACCのコンセンサスグループからは、45歳以上の健康男性・55歳以上の女性へのルーチンの運動ストレステストのルーチン化に関しては確立した証拠の欠如がある。
----
Gibbons RJ, Balady GJ, Beasley JW, et al. ACC/AHA Guidelines for Exercise Testing. A report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines (Committee on Exercise Testing). J Am Coll Cardiol 1997;30:260–311.
----


もし、心血管疾患の問題があり、リスクが高い場合は、運動負荷テストを選択的のおこなわなければならない。心血管疾患を有する患者では医療機関では、運動プログラムをサポートしなければならない。
────────────────────


AHA statementとして、無症状成人への運動テスト:AHA Scientific Statement Exercise Testing in Asymptomatic Adults  (Circulation. 2005;112:771-776.):http://circ.ahajournals.org/cgi/content/full/112/5/771 があり、
臨床的な冠動脈疾患へ進展するリスクに関して、冠動脈石灰化スキャン、ABI(ankle-brachial index)測定、頚動脈超音波、運動負荷心電図が無症状者へのスクリーニングツールとして提案されている。
豊富なデータにより、運動能力、chronotropic response、heart rate recovery、ventricular ectopyといったものが強調されるときに、予後を評価し、洗練する手段として使用できることが示されている。
しかしながら、ランダム知見が無く:選択的に得らればれた対象で、運動負荷のルーチンなスクリーニング戦略が予後や心血管合併症を減らす可動化は知られてない。大規模ランダム試験が必要。



女性の運動能予測式コホート研究
The Prognostic Value of a Nomogram for Exercise Capacity in Women (NEJM 2005/08/04 http://content.nejm.org/cgi/content/short/353/5/468
─────────────────────────────────
無症状女性のコホートにおける年齢をベースにした予測運動能の線形回帰式は以下の通り
predicted MET = 14.7 – (0.13 x age)

年齢からみた運動能予測値85%未満の運動能しかもたない無症状女性の死亡リスクは85%以上の運動能をもつ女性に比べ2倍(P<0.001)

有症状のコホート研究も同様の結果
─────────────────────────────────
日本人にも適応できるのか不明

by internalmedicine | 2005-08-04 11:41 | 運動系  

<< 飲まない薬は効かない・・・・服... 自殺・他殺・PTSD >>