飲まない薬は効かない・・・・服薬アドヘレンス

企業の法律遵守性に関してもコンプライアンスと表現されることが多いようだが、医療の世界でも薬剤処方や医師の指示をまもることをコンプライアンスが良いと表現され、コンプライアンスなる言葉が使われるようであるが、英語圏では、薬剤などの処方遵守性を表現するに当たりアドヘレンスの方が好まれるようである。

Alcによれば、Adherenceとは、“厳守{げんしゅ}、順守{じゅんしゅ}、固執{こしゅう}、固守{こしゅ}、堅持{けんじ}、忠実{ちゅうじつ}な支持{しじ}”ということで、医学的に使う場合は、服薬遵守性でいいのか?





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Drugs don't work in patients who don't take them.

   飲まない薬は効かない・・・・

— C. Everett Koop, M.D.
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という言葉で、NEJMのReview Articleは始まる・・・


以下・・・・要約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”Adherence”ということばと、“Compliance”という言葉
“Adherence”は、“Complicance”より医療従事者に好まれる、なぜなら、後者は患者が受動的に従うことであり、治療への遵守性をベースにしたものではなく、患者・医療従事者の確立した関係をベースにしたものではないから(編者は、”Compliance”を否定的に解釈しているよう・・・)
しかしながら、薬剤服薬行動を記載するのに、両方の言葉とも不完全であり、示唆的言語ではない。

Adherence率は通常、実際に処方したものと実際に服用した分の比率で記載される。

測定方法・・・・
直接法
直接観察下治療
薬物・代謝産物血中濃度
血中の生物学的マーカーの測定

間接法
患者アンケート、患者自己報告
薬剤カウント
Rates of prescription refills(:日本ではrefillないので・・・)
臨床的反応の評価
電化的薬品モニター
生理学的マーカーの測定(例:β遮断剤服用時の心拍)
患者日記
子供なら、世話をしている人や教師へのアンケート


1日の服用回数とAdherence
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1 DOSE = 79% ± 14%,
2 DOSES = 69% ± 15%
3 DOSES = 65% ± 16%
4 DOSES = 51% ± 20%
http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6VRS-446636M-W&_coverDate=08%2F31%2F2001&_alid=301463998&_rdoc=1&_fmt=&_orig=search&_qd=1&_cdi=6242&_sort=d&view=c&_acct=C000050221&_version=1&_urlVersion=0&_userid=10&md5=6c963cd7c59c8e46c768ea6ac1d7a05d
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服用回数が多ければ・・・服薬回数遵守されない

Adherence不良要因
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1)心理的な問題、特にうつ
2)認知機能の問題
3)無症状の疾患治療
4)フォローアップ・退院プランの不適切さ
5)薬物副作用 6)患者が治療のbenefitを信頼していない
7)患者の疾患への理解力不足
8)医師-患者関係の問題
9)ケア・医療への障壁の存在 1
0)同意の欠如
11)治療の複雑さ
12)薬剤・医療コスト

<戦略>
1)Adherence不良の発見
2)レジメンの価値とadherenceの効果の強調
3)レジメンの能力についての評価と、adherence促進
4)単純な、明快な説明によりレジメンを単純化する
5)服用システム促進
6)患者の希望を聞き、カスタマイズすること
7)家族・友人・地域の手助けを得ること
8)適切な場合は希望する行動や結果を強化する
9)無理と思えるときは、寛大な処方を考慮する
・半減期の長い薬剤
・Depot (extended-release) 製剤
 ・経皮的薬物
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<以下、駄文>

服薬遵守性に関する疑問は長期処方が認可されてからますます増加、病状、病気に対する認識が疑わしい人にも、30日・60日処方を仕方なくする場合が増え、処方した日数の倍から3倍後の日数後に受診してくるひとが増えた。また、吸入ステロイドなんてとくにAdherenceはひどいもので・・・どうも日本人は飲み薬以外は薬ではないという固定概念があるのではないかと思うことが多い。

本来使うべき適応が薬剤にないということが放置され、科学的エビデンスのある適応外処方は認知されているはずにもかかわらず実際の保険診療では、医療機関側の過剰請求として扱われ、現実的には使用できない現状。

そして

日本の医者が科学的根拠のない薬剤を使うという側面もある。

メリハリのない薬剤処方は、外的エビデンスより個人経験・叙述的文献を重視し、依存する漢方医学の伝統からではないかと邪推する。机上の理論がまかり通りやすい日本の医師処方事情が、薬剤Adherenceに影響を与えているのではないかと・・・


私なりのまとめ
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飲まない薬は効かない・・・・
飲んだ薬は効くか、効かないか、副作用があるか・・・・よく納得して服薬を守ろう



結核治療の服薬コンプライアンスは公衆衛生的に問題となり良く研究されてます。
DOTSなど・・・・

心理療法が有効kとの論文も・・・


若い先生たちの中は結核治療を過去の治療のように考えてる人がいますが、実は、
結核→白血病→固形癌→動脈硬化性疾患と概念が普及したものがいっぱいあります。
(後日詳細)

by internalmedicine | 2005-08-04 17:21 | 医療一般  

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