肝性脳症にはラクチュロースが第一と思っていた・・・
2004年 04月 30日
昏睡Ⅱ度以下で経口摂取が可能な例では、“ 食事蛋白量の制限(多くは40‐50g)を行い,合成二糖類製剤であるラクツロース⇒あるいはラクチトール(ポルトラック⇒)の経口投与を行いつつ,特殊組成アミノ酸輸液製剤を投与する.”というのが一般的で、肝性脳症の標準治療となっており、これを対照に新薬の治験がなされてさえいます。
ところが、二糖類の肝性脳症へ効果ありのエビデンスが今ひとつということです。
Non-absorbable disaccharides for hepatic encephalopathy: systematic review of randomised trials
BMJ 2004;328:1046 (1 May)
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非吸収性の二糖類は肝性脳症の改善無しのリスク軽減ありと思える(relative risk 0.62, 95% confidence interval 0.46 to 0.84, six trials)(0.92, 0.42 to 2.04, two trials).
プラセボや非介入を比較すると、非吸収2糖類は有意な死亡率改善効果をみとめず (0.41, 0.02 to 8.68, four trials).
非吸収性二糖類は改善無しのリスク軽減に関して抗生剤に劣り(1.24, 1.02 to 1.50, 10 trials)、血中アンモニア濃度低下でも劣る (weighted mean difference 2.35 µmol/l, 0.06 µmol/l to 13.45 µmol/l, 10 trials)。
死亡率の差無し(0.90, 0.48 to 1.67, five trials).
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分枝鎖アミノ酸を多く含有し、芳香族アミノ酸含有の少ない製剤が使われていて、ラクチュロースのような非吸収性の二糖類で下痢気味にすることがよいと、先輩医師から教わってきました。非吸収性のカナマイシンのような抗生物質より優先している処方さえみたことがありますから、信頼性のおかれていた薬剤です。
プラセボとの対照では、改善効果ありそうですから、使っても良いとは思いますが、費用効果的なのか?また、併用で相乗作用ということはないのか?まだ疑問が残りますが・・
by internalmedicine | 2004-04-30 17:27 | 消化器