老人の寝たきりとなる運動性低下はACE多様性と関連するか?

かつて、大熊という朝日新聞の記者は、北欧には寝たきりはいないと豪語して、介護保険導入の提灯記事を書き、その後、大学教授となってます

日本に医療制度が悪いから、寝たきりを作るんだと・・・なら、外国では、老人の運動性低下、sedentary problemはないのだなと皮肉を言いたくなります。

・・・・・google scholarで検索すれば、これが嘘であることは自明

そして、今も、国会では根拠なき、介護保険改悪が再びおこなわれ・・・来年度



老人、とくに、廃用症候群をきたしやすい老人等に対する研究が、運動に関連する遺伝子発現型の研究対象となってきているようです。
http://www.jiss.naash.go.jp/column/saizensen_07.html

でも、結果は結構ばらつきがあるようで・・・COPDに関しても、しかり。

mobility limitationというのは、運動制限ですが、筋肉の萎縮に伴う、自然の拘禁状態であり、大元は、筋肉をつかわないための、廃用性の萎縮ということになります。


Angiotensin-Converting Enzyme Insertion/Deletion Genotype, Exercise, and Physical Decline
JAMA. 2005;294:691-698.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/294/6/691
運動に対する運動パフォーマンスは、ACEの挿入(I)/欠失(D)発現型に若年成人では影響されるようである。しかし、この関係は老人での運動の関係は、この発現型と運動の関係は未だ良く研究されてない。
目的:ACE表現型が機能の保たれている老人で運動制限へ影響を有意に与えるかについて検討したもの
デザイン・設定・参加者:The Health Aging and Body Composition (Health ABC) Cohort Study
都市圏の3075名の機能の保たれた70-79歳までの住民で、1997-1998年から4.1年平均フォローアップ
主なアウトカム研究:
Incident mobility limitationの定義:2連続準年的インタービューにおいて1マイルの1/4の歩行困難、10ステップの階段登りの困難さ(n=1204)

結果:身体的に活動性のある参加者(運動・歩行・階段登りとして週1000kcal以上報告))は表現型にかかわらず運動制限(mobility limitation)は少ない。
しかし、ACE発現型と活動性レベルは相関があった(P = .002).
非活動群では、ACE発現型はmobility limitationと相関がなかった(P = .46).
活動群では、II発現型の対象者は、ID/DD発現型に比べ、関連因子補正後mobility limitationに進展しやすい傾向にあった (補正オッズ比 1.45, 95% CI 1.08-1.94).
遺伝子相関は、重量挙げの報告をする程度の激しい運動する人では関連が強かった
可能性のある生理学的な相関の説明により、活動性の高い参加者の間で、II発現型の参加者は体脂肪のパーセンテージが高く(P=.02)、大腿の筋肉間脂肪が多い(P=0.02)が、四頭筋筋力はID/DDと同等.
【結論】運動をしている老人にとって、ACE DDもしくはID発現型は、II発現型に比べmobility limitationに進展しにくい。
発現型にかかわらず、運動の少ない人は他の人に比べmobility limitationとなりやすい
─────────────────────────────────


要するに、遺伝がどうあろうと、体をうごかさないと年とると動かなくなる
高い運動性の必要な場合は遺伝が関係する・・・ってことかな
・・・・それと、コミュニティーでのグループリハビリテーションの非効率性は、呼吸器系リハビリテーションの世界では自明・・・にもかかわらず、非専門職による介護保険によるリハビリテーションを国は勧めていくらしい
─────────────────────────────────
<呼吸器系で、community-based rehabilitationが非効率的で意味がないという論文>
Cambach W, Chadwick-Straver RV, Wagenaar RC, van Keimpema AR,
Kemper HC. The effects of a community-based pulmonary rehabilitation
programme on exercise tolerance and quality of life: a randomized
controlled trial. Eur Respir J 1997;10:104–113.

Wedzicha JA, Bestall JC, Garrod R, Garnham R, Paul EA, Jones PW.
Randomized controlled trial of pulmonary rehabilitation in severe
chronic obstructive pulmonary disease patients, stratified with the
MRC dyspnoea scale. Eur Respir J 1998;12:363–369.
─────────────────────────────────



しかしながら、医者としては、より運動性のできる老人では、やはり好気的運動はインスリン作用を改善する効果があるようであるので、やはり運動は大事であることは強調しておく
Exercise-induced changes in insulin action are associated with ACE gene polymorphisms in older adults
http://physiolgenomics.physiology.org/cgi/content/abstract/11/2/73


それと、この論文・・・ACE発現型(I)と脂質に関する問題が気になった

by internalmedicine | 2005-08-10 11:13 | 運動系

 

<< anti-TNF-alfa キ... 甲状腺ホルモン補充は最初から最... >>