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Date: Mon, 08 Oct 2001 15:59:35 +0900
Subject: 診療室高血圧・家庭高血圧
今日までレセでした。
ちと、血圧があがりそうな査定(慢性肺性心で心エコー不適応とされ)がありまして、気分が良くありません。
isolated office hypertension、isolated home hypertensionは如何に訳せばよいのだろうとWeb検索したら診察室高血圧(白衣高血圧) “ある患者においては、診察室では血圧がいつも上昇しているが、診察室外の環境では日中の血圧は上昇しない。この状況は「白衣高血圧(white-coat hypertension)」として広く知られているが、「診察室高血圧(isolated office hypertension)」の用語の方が望ましい。その理由は、診察室における日中の血圧の差はおそらく複数の要因に依存しており、医師による血圧測定に対する血圧上昇反応、いわゆる「白衣」効果とは相関しないからである” http://www.so-net.ne.jp/medipro/ebm/guide/who99/honbun5.html なるほど、白衣高血圧という言葉はのぞましくないのですね。ガイドラインには“白衣高血圧(診療室高血圧)”と書かれています。逆じゃないのかしら、 “診療室高血圧(いわゆる白衣高血圧)”が正しいような気がするんですが、 1999年WHOガイドライン(http://www.euromise.org/mgt/who1999/whomiddle.html)にも, “There is continuing debate as to whether "isolated" office hypertension ("white coat hypertension")is an innocent phenomenon or whether it carries an increased burden of cardiovascular risk. ” という文章の中に後述の如くかかれてますよね。 isolated home hypertensionという訳がわからないのですが、仮に家庭高血圧としておきます。後ろ向き研究ながら、家庭高血圧と診療室高血圧の比較を心血管疾患の患者背景で比較しています。結局、結論は出ないながら、家庭高血圧は心血管合併症に意義があるが、診療室高血圧はなさそうというところでしょうか? 1割強ずつ、あるわけですから、診療室のみの高血圧診断はまあ、むずかしいということになります。 Is "Isolated Home" Hypertension as Opposed to "Isolated Office" Hypert ension a Sign of Greater Cardiovascular Risk? http://archinte.ama-assn.org/issues/v161n18/abs/ioi00596.html
【背景】SHEAF (Self-Measurement of Blood Pressure at Home in the Elder ly: Assessment and Follow-up)研究は観察研究(from February 1998 to earl y 2002)であり、60歳以上の老人で家庭内血圧測定が受診示血圧測定より心血管疾患の予後因子として重要かどうかを決定するために行われる。この目的は基礎背景を1998年2月から1999年3月までの治療患者でしらべ、“診察室高血圧”(白衣高血圧)と“家庭高血圧”にとくに注目した。
【方法】診療時血圧測定を水銀柱にて行い、家庭血圧測定は4日間おこなう。診察室高血圧140/90mmHg、家庭高血圧では135/85mmHgを閾値とする。
【結果】5211名の在宅血圧測定であるSHEAF studyのうち、4939名がすくなくとも1種類の降圧剤治療を使用しており、このうち12.5%は、診察室高血圧であり、10.8は家庭高血圧である。診察室高血圧はコントロールされている患者のcharacteristicsは類似している。しかし、白衣高血圧は心血管合併症の既往が少ない。逆に、家庭高血圧はコントロールされてない高血圧患者に類似する心血管リスク頻度と心血管疾患の既往をもつ。
【結論】後顧的解析にて家庭高血圧はハイリスク群にない、3年フォローアップにて心血管疾患の予後に関するデータがでるであろう。 Arch Intern Med. 2001;161:2205-2211

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Date: Tue, 09 Oct 2001 17:48:55 +0900
Subject: 炭疽菌感染
第2のテロ?高まる不安…米の炭疽菌感染 http://www.yomiuri.co.jp/05/20011009id12.htm ということだそうですが、日本でもオウムが撒布を計画したのが思い出されますし、バイオ・テロの恐怖が現実味をおびてきています。米国医師会もメッセージをだしていますし、 http://www.ama-assn.org/ama/pub/category/6383.html たまたま、2つの炭疽病への画期的研究の成果が今月のジャーナルで報告されているそうです。・“Nature biology”10月号に蛋白はチームとなり人の細胞を攻撃する、一つはprotective protein(PA)であり、細胞表面の受容体と結合し、他の酵素によりcleaveされる。残ったPAの部分、PA63は、他の炭疽菌蛋白、たとえば leathal factorやedema factorの docking siteとして働く。一度集積すれば、毒素は他の細胞内へlethal factorを侵入させることができる。切断し、イベントチェーンを形成し、炭疽病症状出現につながる。PA63に結合するぺプチド、部分蛋白をみつけ、ペプチドのコピーをリンクさせ、polyvalent inhibitor(PVI)と呼ばれる合成分子により自然の炭疽毒がPA63と結合するのを防止できた。Nature biologyに報告されているところでは、PVI治療なしではラットは数時間以内に死亡するが炭疽毒の正常の致死量10倍でもPVIにて防御可能であった。炭疽菌への抗生剤は有効だが、すでに生体内に存在し、症状が出現する場合の毒素には無効であり、生物学的テロリズムに対して全世界でワクチンをおこなうことは困難であるので、この治療法は有望となるであろう。(http: //www.sciencenews.org/20011006/fob1.asp)・“Current Biology”にKif1C というマクロファージ内のtran sporting moleculeのやや異なった表現型をしめすマウス種では、マクロファージへの毒性を減少させるという報告が掲載されたそうです。(http: //www.hhmi.org/news/dietrich.html)後者は、geneの有無をみつければ耐性のある人間の選択もできそうだし、PVI は実際に治療で有望なようですね。 #日本も、こういう研究で世界に貢献できるよう発想を変えても良いと思うのですが、炭疽病本邦のWebでの情報では、肺炭疽の記載が乏しいようなので訳してみました。 “肺炭疽 (inhalation anthrax、woolsorters' disease) 通常、動物の毛髪、皮を扱っているところのゴミを吸入して生じる。この疾患は突然の高熱と胸痛で始まり、全身の出血性病変に進展し、感染の侵襲性を止めることができなかったらしばしば致命的となる。1954年まで炭疽菌の毒性は認められておらず、それ以前は無数の炭疽菌が血管内に見られ、毛細血管を閉塞することにより死亡するとされた“log-jam” theoryとして一般的に知られる説が主であった。しかし、この理論だと109/ml必要だが、実際には動物実験では3×106/ml で死亡する。さらに、炭疽で死亡した動物の細胞を含まない血清で、正常モルモットにToxinを注射したら炭疽病の症状を生じる。このことから炭疽病は毒素から生じるのは疑いが無い。炭疽毒素は現時点では理解不能な致死的作用を有している。酸素欠乏、二次性ショック、血管透過性亢進、呼吸不全、心不全となる。人間や動物における炭疽病の死亡は突然で、予測不能である。循環血中の毒素レベルは疾患が進行してから急激に増加し、血中の細菌濃度と比例している。” (http://www.bact.wisc.edu/Bact330/lectureanthrax)
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Date: Wed, 10 Oct 2001 14:47:39 +0900
Subject: BCG患者における全血INFガンマ測定
BCG接種された人におけるツベルクリン反応の解釈は難しくなる場合が多く、特にlatent tuberculosis infectionの場合は困難でした。全血中のIFNが有効なようです。 Comparison of a Whole-Blood Interferon Assay With Tuberculin Skin Testing for Detecting Latent Mycobacterium tuberculosis Infection http://jama.ama-assn.org/issues/v286n14/abs/joc10240.html
【序】latent tuberculosis infection (LTBI)患者を同定することはTB除外に重要である。全血IFNγ、QuantiFERON-TB testは、LTBIのin vitro診断に有望であり、ツベルクリン皮膚テスト(TST)の価値より高い可能性がある。
【対象】1226名の成人(平均39歳)で、結核感染のリスクは様々、活動性結核疑いや診断済みを含む。全例IFN-γとTSTを施行。
【主な結果】 390名(31.8%)がTST陽性で、349(28.5%)がIFN-γ陽性。IFN全般一致率は83. 1%(κ=0.60)で、多変量解析で、TST陽性、IFNγ陰性結果では非ワクチン患者に比較しBCGワクチン患者でのOddsは7倍であった。非ワクチン患者患者でも、IFNγ陰性例では21.2%はM tuberculosis以外の抗酸菌に反応している。
【結論】全参加者において、LTBIのスクリーニングとして、IFNγはTSTと比較して、LTBIを同定する能力として充分評価しえ、BCGワクチンに影響されにくく、非結核性の抗酸菌との区別するのに有用であり、TSTに関わる接種方法に関連する変動や主観に影響されにくい。 JAMA. 2001;286:1740-1747 非定型抗酸菌症では、IFNγが低値 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=11069238&dopt=Abstract CD4(+) T 、 gammadelta T cellの機能低下とAM症が関連あるので鑑別に役だつのだろうか?以前から胸膜炎ではインターフェロンγの有用性は認められていました。 ↓ 結核性胸膜炎にたいする胸水中のインターフェロンγ(IFNγ) IFN(140pg/ml)では、感度94.2%、特異度91.8%で、LR+:11.1、LR-:0.06とかなり有用性が高いようです。P/SADA は、感度85.7%、特異度89%で、LR+:7 .8、LR-:0.16で Chest, Vol 103, 458-465 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=8432137&dopt=Abstract

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Date: Wed, 10 Oct 2001 16:41:49 +0900
Subject: 虫垂炎の誤診率は昔と変わってなかった
CTや超音波や腹腔鏡まで使うようになったのだから、虫垂炎の誤診率もさぞ減ったことだろうとしらべてみたら、なんと減少どころか、一部増加もあるらしいという話です。 http://jama.ama-assn.org/issues/v286n14/images/jtw10034f3.gif フルテキストをみてないのでわからないのですが、重症度で補正したのかしら?抗生剤にて手術件数も減ってるはずだし、診断・治療困難例も増えてるはずだし、という疑問も湧きます。悪党マスゴミに悪用されるかもしれない論文でもあるかも?なんて、もしかして、高価な器械を使ってもホントに誤診なんて減らないのでしょうか? Has Misdiagnosis of Appendicitis Decreased Over Time? A Population-Based Analysis http://jama.ama-assn.org/issues/v286n14/abs/joc10703.html
【序】虫垂炎と思われる患者の誤診は不必要な手術というadverse outcomeを生む。CT、US、腹腔鏡は虫垂炎と思われる所見を有する患者に用いられ不必要な手術が減少したと思われる。
【目的】虫垂切除を受けた患者の誤診の頻度がCT、US、腹腔鏡使用により減少したかを決定する目的。
【デザイン・設定・患者】後顧的、population-based cohort studyで85790名
【おもな測定項目】populaiton-baseな性・年齢による標準化された急性虫垂炎(穿孔・非穿孔とも)と正常の虫垂の頻度の比較
【結果】63707の偶発的でない虫垂切除の患者さんのうち、84.5%は虫垂炎(25 .8%は穿孔)で、15.5%は虫垂炎との診断と関連せず。年齢・性で補正後、 population-basedの不必要な虫垂切除の比率は時代の変化に関わらず不変である。生殖可能な女性では、populaiton-basedな誤診の頻度はむしろ年毎に1%ずつ増加している(P=.005)。誤診の頻度は65歳以上では年に8%増加する (p<.001)が、5歳以下では増加はなかった(P=.17)。誤診となった腹腔鏡的虫垂切除の頻度は快復より有意に高い(19.6% vs 15.5%,p<.001)
【結論】予想に反し、不要な虫垂切除となった誤診の率はCT、US、腹腔鏡の導入にもかかわらず、変化が無く、穿孔の頻度も減少していない。このデータではpopulation levelでは、虫垂炎の診断は診断機器の発展に関わらず改善していない。
JAMA. 2001;286:1748-1753

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Date: Thu, 11 Oct 2001 12:20:41 +0900
Subject: Remicade(Infliximab)と結核
Remicade(Infliximab)は、TNFαに対するヒト類似抗体であり、慢性関節リウマチ、クローン病の治療薬として全世界で現在約14万7千名が使用し、期待がもたれてますが、 http://www.h3.dion.ne.jp/~kelkans/remicade.html “infliximab(商品名:Remicade)の使用と結核の発病・再活動とに関係があるかもしれないという懸念が持たれていた。結核は命にかかわる恐れがあり、主に結核の多発国で心配されてきた。” Tuberculosis Associated with Infliximab, a Tumor Necrosis Factor ?Neutralizing Agent Volume 345:1098-1104 October 11, 2001 Number 15 http://content.nejm.org/cgi/content/short/345/15/1098
【結果】infliximab治療後の70例の結核発症は12週の中間値であった。48名ではinfliximab3回以下の投与で結核発症。 40名の患者は肺外疾患(17例が播種性、11例がリンパ節、4例が腹膜、1例ずつ髄膜炎、腸炎、paravertebral、骨、生殖器、膀胱)。33 名は生検診断。この薬剤使用群では、結核の頻度が増加。加えて、infliximab治療患者での結核の報告例は背景よりかなり高い率である。
【結論】infliximab治療開始後すぐに活動性結核に進展する可能性がある。薬剤処方後、意志はlatent肺結核感染をスクリーニングしなければならない。
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Date: Thu, 11 Oct 2001 14:46:02 +0900
Subject: 細菌・化学兵器 B例のJAMAの該当部位を一部訳してみると

ヒトにおける肺炭疽の治療に関する臨床研究はない。故に、この状態の敗血症に対する推奨抗生剤レジメンは研究されておらず、炭疽菌の自然種では empirical regimenに使用される多くの抗生剤に対して、たとえば広域スペクトラムセファロスポリン系に対する、抵抗性が存在する。58, 59 多くの自然種炭疽病ではペニシリン感受性を有し、ペニシリンが歴史的に炭疽病で使用される。ペニシリンはFDAで適応と認可されており41, 56, 57 、 doxycyclineもそうである60。炭疽病サルの少ない対象の研究で経口 doxycyclineが有効であることが判明している41。 Doxycyclineはサルの研究で有効性が判明しているのでtetracyclineからは好まれる。同種のほかの薬剤も代換的に使用される。肺炭疽の治療はヒトでは研究されていないが、動物モデルでは優れた効果がある 28,41,61. in vitroでは他のfluoroquinoloneも同様な効果を示すことが示唆されているが、ciprofloxacinより他のfluoroquinoloneには動物データも存在しない59。ワクチンに関しては、US armed forcesで59万回投与し、重症副作用報告なし。サルの実験で、8-38週にて完全にエロゾール暴露に対し防御可能で、100週目で88%有効。 http://jama.ama-assn.org/issues/v281n18/ffull/jst80027.html Doxycyclineでも良さそうですが、Ciproを好むんですね。

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Date: Fri, 12 Oct 2001 11:23:04 +0900
Subject:狂牛病
10/13日付けのBMJの“Education and debate” New variant Creutzfeldt-Jakob disease: the epidemic that never was BMJ 2001;323:858-861 ( 13 October ) http://www.bmj.com/cgi/content/full/323/7317/858 が掲載され、BSEとnvCJDの関連に関する疑問というか、否定というか、議論をはじめましょうというのが掲載されました。議論のクライテリア・Biological plausibilityhow much accord there is between the current understanding of biological and pathological processes and the likelihood of the cause producing the effect ・Strength of associationhow often exposure to the cause leads to the disease ・Consistencyhow consistent the findings are with other studies in different populations and at different times ・Temporality of associationwhether exposure to the cause precedes the development of disease ・Specificity whether the putative cause produces only the given disease and the given disease results only from that cause ・Dose-response relation ・Quality of evidencehow robust and pertinent is the evidence provided? ・Reversibilitywhether removal of the cause prevents occurrence of the disease O157のような食事感染モデルで計算すると、nvCJDがあまりに少なすぎること。関連あるとされる疫学的なエビデンスの質にも問題があり、イギリスでの歴史的な診断法により、結果的にmisdiagnosisを生じたのではなかろうかなど読み応えがあるようです。流し読みをして興味深かったのでご紹介いたします。

by internalmedicine | 2005-08-15 14:17 | 医療一般  

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