アスピリンの大腸癌発生抑制効果
2005年 08月 24日
のだがアスピリンで大腸癌発症予防の論文
・・・だが・・・吟味的・批評的に見てみよう(決してCriticalではない・・)
・・・すると・・・文献上の数字も色あせてくる
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Long-term Use of Aspirin and Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs and Risk of Colorectal Cancer
JAMA. 2005;294:914-923.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/294/8/914
82911名の前向き研究(1980-2000年7月1日までフォロー)
20年以上で、962名の大腸癌記載。
定期的なアスピリン使用者(?2 standard [325-mg] tablets per week)vs非常用者の多変量相対リスク: 0.77 (95% CI 0.67-0.88)
しかし、有意なリスク減少は10年以上越えないと観察できない(P?.001 for trend)
この効果は用量依存的のようで;
1週あたり
0.5-1.5錠: 1.10 (95% CI, 0.92-1.31)
2-5錠: 0.89 (95% CI, 0.73-1.10)
6-14錠:0.78 (95% CI, 0.62-0.97)
14錠以上:0.68 (95% CI, 0.49-0.95)
週14アスピリンを10年以上投与女性の多変量RRは0.47(95%CI 0.31-0.71)
同様に、用量依存関係が非アスピリンNSAIDsでも(P=.007)
メジャーなGI出血は用量依存で1000人年で0.77
0.5-1.5錠/週:1.07
2-5錠/週:1.07
6-14錠/週:1.40
14錠以上/週:1.57
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人年と20年を混同しているのでわかりにくい
正確さは欠くが、10年以上で効果があるというので10年のみで比較すると
NNHは、
10人年で7.7人の対照で14錠以上/週1.57では12.1人となり、
NNH10=227.8、NNH20では113.9
NNT20は、40程度になる
・・・そうなると、さほど差はなくなるのかもしれない。
日本人の上部消化管疾患の頻度を考えるとほとんどリスク/ベネフィットの差はないのかもしれない。
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by internalmedicine | 2005-08-24 11:54 | 消化器