ホメオパチー論文の問題点:WHOに浸潤する代換医療推進主義者

無知・無恥に勝るものはない・・・科学的論理性に対して、直感・直情的な発言は個人に対しては無力であり、それを敵意をもった相手に対して受け入れてもらうには情緒的手法を使わざる得ない。根本に科学的論理性がなければ医者としては失格だと思う。根本的な論理性に欠けることを平気で口に出す人が目立つこともある。特に疑似論理を根っから信じ込み、教条主義に陥っている。それに菲薄な人権主義を混ぜ込んで、徒党を組み始める。


ヨーロッパでは、アメリカでは、WHO報告書では・・・というのが、彼らの主張と同じなら鬼に金棒・・・科学的論理性をもとめようにも情報が少ない場合は彼らの意見を容認せざる得なくなる事態が、そして、自らもいつのまにかQuackeryとして働くことになってしまう

日本の国会の財務省官僚の浸潤と同様、WHOにも代換医療・補完医療推進論者が浸潤し、多大なる影響を及ぼしている状況がLancetのホメオパチー研究の客観的批評論文の論評に書かれていた。・・・興味あるレポートである。


ホメオパチーの一番の問題点は、その有効性が科学的手法で確かめられてないと言うことでなく、正しくおこなわれていないことの方が問題と思う。
医療資格をもち、正しく教育されたものが、その限界と効果を客観的に評価できるほどの訓練をおこなった場合にだけ用いられるべきであり、現状は医療資格をもたないものがまさに、自由放任(laissez-faire attitude)政策の元、おこなわれている。
ホメオパチーは欧州で保険適応となっている主張があるが、スイスでは今後5年後、科学的エビデンス検討にてその有効性とコスト効果がないという理由で、保険適応をとりやめることとなっており、ホメオパチーに対しては超長期的な自由放任政策(laissez-faire attitude)がおこなわれてきたが、今まで無かった視点が求められている。2000年イギリス(UK Parliamentary Select Committee on Science and Technology issued a report about complementary and alternative medicine)では、プラセボ治療を上回ることが可能かどうかのエビデンスが特異的な病態に対する治療と述べるには必要というrecommendationを提出している。


ホメオパチーなどは現時点では寛大すぎる政策による鬼っ子といえるのである。


ホメオパチーの臨床的影響を他の通常の治療手段と比べた文献がLancetに掲載されている

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Are the clinical effects of homoeopathy placebo effects? Comparative study of placebo-controlled trials of homoeopathy and allopathy
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140673605671772/abstract
DOI:10.1016/S0140-6736(05)67177-2
110のhomoeopathy trialと100のマッチされた通常の医療トライアルを分析。
中央研究サイズは65名の参加者(-1573)
21のhomoeopathyトライアル(19%)と通常研究9(8%)は高い質であった。
両群とも、少数トライアル、質の低い研究は大規模・高品質のトライアルより治療有益性は高かった。大規模、高い質のトライアルに限ると、オッズ比はhomoeopathy 0.88(95%CI 0.65-1.19)(8研究)、通常医療治療 0.58(0.39-0.85)(6研究)

バイアスに関しては、homoepathy・通常の医療治療トライアルとも存在。
homoepathyの特異的な治療効果のエビデンスは少ないが、通常の医学治療トライアル介入は強いエビデンスがある。この結果は、homoeopathyの臨床研究はプラセボ効果が特に必要ということを示す。
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<WHO批判>[The Lancet 2005; 366:705-706]
代換治療会議主義者がWHOに対しpro-homeoopathyプロパガンダより気味であるとして、ホメオパチーの図案報告を広汎に改訂するようもとめている
オランダの反Quackery Unionのチェアマンであり婦人科医であるCees Renckensによれば、その有効性に疑念があるにもかかわらず、homoeopathyを支持する研究を重視しすぎているとしている、WHOがこの種の報告書を出すのには痛ましい(pathetic)ことであると述べている。WHO側はこの酷評者をアンフェアであるとみなしている。;すなわち“予備的であり、たんなる図案段階にすぎない”と、WHOの“Essential Drugs and Medicine Policy”の伝統医学のチームコーディネーターであるXiaorui Zhangは述べている。

しかし、批評側はさらに疑念をもっており、この報告書のトーン・アプローチは、同じグループの報告した2003年の、鍼治療に関する報告書でも確認できるとBrussels大学、SKEPPのチェアマンであるWillem Betzは述べている。
細菌性の下痢や白血球減少を含む、対照化トライアルにおいて、鍼治療が、状態のスコアにおいて有効であったと報告している。Betzらはそのエビデンスは支持できないとのべており、WHOは代換治療の伝道師たちにより浸潤されていると述べている。・・・後続く




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spiritual healthというWHOの提唱している概念にも、冷静な科学的批評をおこなってほしいものである。

by internalmedicine | 2005-08-26 11:56 | Quack  

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