収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、平均血圧

高齢の先生方は拡張期血圧をかなり重視され、脈圧にも興味を持たれているようです。
そのような質問を講演会でしている先生方がおりました。また、平均血圧を臨床的に重視する発想の先生も・・・現実にはどれが重要なのかというのは以前から興味を持っているところですが・・まぁクリアカットなものは無いと思いますが・・・若年者は収縮期・拡張期、高齢者は収縮期血圧が特に重要と位しかいえないのでは・・・(なぜなら収縮期血圧も拡張期血圧も測定する手段に依存する部分があり、流体力学を模しているにすぎない概念的発想と現実にギャップが生じるから・・)

収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、平均血圧
収縮期血圧は、独立したリスク要因として、拡張期血圧よりははるかに重要な要因として老人高血圧では認識。脈圧は独立したCVリスクとして確立はしているg、ISHでの研究でも、またアウトカム研究でも老人高血圧では確立されているとはいえない。
Systolic versus diastolic blood pressure versus pulse pressure. Curr Cardiol Rep. 2002 Nov;4(6):463-7.



AHA Scientific Statement
Recommendations for Blood Pressure Measurement in Humans and Experimental Animals

[[(Circulation. 2005;111:697-716.):http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/111/5/697]]~
正確な血圧測定は、血圧関連リスクを確定し、マネージメントのガイドとなるため必須。
水銀の使用が少なくなり、熟練した測定者が行う聴診技術と水銀血圧計が診療の測定方法であり続けているが、Korotkoff音の4音、5音を用いたものであり、妊娠女性もこれで行われている。水銀使用が次第に控えられてきており、代換品が必要とされている。
Aneroid deviceが適しているが、頻回のキャリブレーションが必要。
電子トランスジューサー使用のhybrid deviceへの置換は有望である。Oscillometric methodは診察時に用いることができ、標準プロトコールによる補正もすべきであり、個々での補正が推奨されている。他種類測定のadvantageがある。測定者の技量不足、患者の体位、カフサイズの選択が要因となる。診察時測定は、他の状況での血圧測定と相関が悪いという減少が認識されつつあり、自宅でのデバイスによる自己測定を補完することが行われつつある。自宅での測定は心血管イベント予測、治療効果をモニターするために特に有効であるというエビデンスが増加している。24時間持続モニタリングが診察時血圧測定よりよりリスク推定に良好である。夜間血圧低下治療失敗はリスク増加と関連。肥満・小児では適切なカフサイズがparamount importanceである。



診療所ベースでの血管疾患予後測定は、収縮期、拡張期血圧、平均動脈圧、脈圧を含む
このそれぞれの重要性を別々に測定する試みがなされた。脈圧測定の興味にかかわらず、未だに収縮期・拡張期血圧の使用が分類として用いられている。

Importance of Blood Pressure Variability

脈圧変動が心血管合併症のリスク増加の独立した因子であるとする研究が生物学的な材料にてsteady-state levelよりpressureの変化によりきたしやすいという考えが勃興してきている。心拍毎の変化、診察の間の長期的な変化などの方法論の違いがある。
変動増加の病的重要性を示唆する研究があるが、血圧変動によるtarget organへのの直接悪影響と眞逆で、より広範なtarget organ damageの所見であるとも考えられ、baroreflex regulationの障害による血圧変動とも考えられる可能性がある。

''"Labile hypertension" ''というのが、通常ではない変動を示す用語として以前用いられていたが、診療室外測定の広範な使用により、例外と言うより変動自体がruleであるということが判明してきた。


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2002年に前項関連論文を読んだときの記録
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“収縮期血圧v.s.拡張期血圧”のどっちの料理ショーじゃかった、
収縮期血圧がファイナルアンサー?って
なんかのテレビの影響なんでしょうか?
editorialから読めば私のような経験のすくない医者にもおもしろいと思いましたけど、(他人がどう感じるかまでは責任もてない)

The Changing Face of Hypertension
Is Systolic Blood Pressure the Final Answer?
Prakash C. Deedwania, MD
Arch Int Med Vol. 162 No. 5,
March 11, 2002
高血圧が、心血管疾患のリスクファクターであると認識されて100年以上たつが、CVDのリスク予後因子としての血圧には多くの議論が存在する。
最初から、拡張期血圧(DBP) 対 収縮期血圧のどちらが重要かの意見が変遷している。血圧計の進歩により、拡張期血圧を測定に専念するという気まぐれに陥ったように思える。1900年年代早期、高い収縮血圧は“心臓の強さ”を、高い拡張期血圧は末梢血管抵抗を反映していると考えられ、心臓、血管系への負荷が一
定に影響を与え、拡張期血圧の増加が心臓への悪化要因となると考えられた。さらに拡張期血圧は再現性が良いため、高血圧の診断、 stagingの一義的パラメーターとして選択されたり、多くの臨床トライアルでメインの目標とされたりしている。しかし、Framingham Study30年以上の報告について、付加的な最近の20年
の研究で、CVDのリスクを推測するためDBPに焦点がおかれたものであった。結局、SBPと脈圧(PP)がDBPよりCVDの予後の良好な因子であることが示された。
DBP 優性の状態のためにこのデータが長期間無視され続けてきたが、エビデンスの強さを重視する世になり、NHBPEPからの臨床的advisory statementとして、診断、病期、血圧の治療管理、特に中年から高齢者においてSBPを第一判断基準とするように宣言されている。

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この(↓)ARCHIVESの論文は
Arch Intern Med. 2002;162:577-581
年齢、リスク要因を補正後、CVD死亡率の増加リスクを表現。
年齢、リスク要因で補正後、CVD死亡率はRRで表現すると、CVD死亡率1.66[95% confidence interval [CI], 1.04-2.64]、CHD死亡率2.35[95% CI, 1.03-5.35]
年齢、リスク要因、DBPを補正後、SBP140未満に比較して、CVD死亡率1.81[95% CI, 1.04-3.13](140-160),19.4[95% CI, 1.10-3.43](160超)であった。
SBP値、CVDリスクを補正後、DBPとCVDリスクは相関せず。
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高血圧男性に対してSBPがCVD・冠動脈疾患に対してより良い予後因子である。

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この辺を変な日本語訳して、東京あたりの先生たちがまた講演しまくるのだろうか?

「職場高血圧」・「仮面高血圧」という造語にご用心

http://intmed.exblog.jp/2112831/

by internalmedicine | 2005-09-30 11:57 | 動脈硬化/循環器  

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