持続的肺動脈カテーテルによるモニタリングの終焉・・・心不全治療周辺

ICUベースでは、肺動脈カテーテルモニタリングは、見られなくなるのか・・・

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肺動脈カテーテルは重症疾患患者の管理に広く使われているが、予後を改善するかどうかは不明。2つの研究がJAMAに報告。
ESCAPE(Evaluation Study of Congestive Heart Failure and Pulmonary Artery Catheterization Effectiveness)はランダム割付にてPACモニタリングとそれを除いた臨床的評価で比較。入院日数・死亡率は同様だが、
Shahらの報告はメタ・アナリシスで、13の臨床トライアルからPAC割付と割り付けてない郡の比較で、手術患者において、ICU入室中の敗血症、ARDあるは病態の進展した心不全では、死亡率、入院日数に関してneutral effectであった。


Evaluation Study of Congestive Heart Failure and Pulmonary Artery Catheterization Effectiveness
The ESCAPE Trial
The ESCAPE Investigators and ESCAPE Study Coordinators*
JAMA. 2005;294:1625-1633.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/294/13/1625



Impact of the Pulmonary Artery Catheter in Critically Ill Patients
Meta-analysis of Randomized Clinical Trials
JAMA. 2005;294:1664-1670.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/294/13/1664

この結論
PACを用いて、死亡率、入院滞在日数、関連のbenefitの増加は無かった。約20年のRCTsに関わらず、PACを使用して生存率を改善したという明かな戦略は正当化できなかった。PACが予後改善も悪化ももたらさないということは、重症患者においてPAC情報利用によるエビデンスベースの治療の有効性に関するエビデンスはない。

<以前のガイダンス>
Present Use of Bedside Right Heart Catheterization in Patients With Cardiac Disease
http://www.acc.org/clinical/consensus/catheter/jac5803fla13.htm
JACC Vol. 32, No. 3, September 1998:840-864
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うっ血性(congestive)という言葉は2001年から除外されつつあるが、
ただ、臨床的に“うっ血”という意味は重要・・・(http://www.ajhp.org/cgi/content/full/62/19/1953

臨床の現場では低心拍出量=心不全からやっと脱却したばかりなので、この“うっ血”の意味はまだ思いと思われる。心不全入院患者の数%程度しかない低心拍性心不全のために、残り90%越える比率の“うっ血性”心不全を特殊化して言うのは可笑しいということが言われてきているのだが・・・あえて、言明することで、治療方針がはっきりするのでは無かろうか?



medscape CMEから・・・
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1.日々の体重測定の限界
心不全の状態の推定としての日々の体重測定の体重測定には信頼性に限界がある。
測定スケールの自己操作・判読の難しさ、記憶の困難さ。
変動があり、HF改善で食欲改善による影響は、時間・条件による変動に左右される。
加えて、体重減少は、筋肉・脂肪の減少により、それは水分貯留の増加による影響を反映することがあいまいとなる。心不全入院の主な理由はうっ血であるが、ADHEREのデータでは、患者の50%近くが入院中体重減少が最小か、もしくは、ほとんど変動がなかった。

・3-5ポンド(1.4Kg~2.3Kg)の急激な体重増加は体液貯留を表す
・低Naのときは水分制限
老人心不全ガイドライン


2.ESCAPE研究(Evaluation Study of Congestive Heart Failure and Pulmonary Artery Catheterization Effectiveness)の6ヶ月後の退院後生存期間への影響因子として有意でないのは、高心拍出量
PCWP(肺うっ血)が最も重要な予後因子で、心拍出量ではない。独立した予後因子としては、低収縮期血圧、BUN高値、6分間歩行距離の低値である。
参考

3. Acute Decompensated Heart Failure National Registry (ADHERE)とVasodilatation in the Management of Acute Congestive Heart Failure (VMAC) の結果、入院は低心拍出量よりうっ血によるという結果、ADHERE空のデータで、心不全患者で受診のほとんどは正常・高血圧で、2%だけが<90mmHg(すなわち低心拍)であった。VMACトライアルにて入院となった患者は高楔入圧を有し、心指数は通常温存さえている(2-2.2L/min/m)
このデータからほとんどすべての心不全患者入院は低心拍出量よりうっ血によるものと判断できる。


4. 右室と肺動脈拡張圧は症状進展と、心不全悪化による入院に繋がることが判明している。
植え込み方の結構モニターにより、AdamsonらはRV圧とPA拡張期圧が症状が出現し、入院を必要とする数日前から始まることが見出された。


5. Medtronic Impedance Diagnostic in Heart Failure Patients Trial (MID-HeFT)での入院中水分負荷について
楔入圧とnet Fluid I/Oともに減少することに呼応するimpedanceの増加
9名の患者で水分過負荷による25回の入院。PCWPとnet Fluid I/Oの間のimpedanceの逆相関。加えて、入院前数日前にimpedanceの減少が見られた。入院に関してはimpedanceの減少が予後因子として結論づけられる。

6. IMPACT-HF studyからのデータで、うっ血は入院期間中適切に目標化されてない。
IMPACT-HF studyで、 入院と退院の徴候・症状の変化は適切に目標化されてない。60%が呼吸困難、疲労感を抱えたまま退院している。
退院後60日内の心不全悪化は45%で、25%が再入院。この研究で退院前の適切な認識・マネージメントがなされているか疑問が残る。

(参照:メドトロニクスの大規模研究予定
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by internalmedicine | 2005-10-05 16:05 | 動脈硬化/循環器  

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