非心臓手術でも予防的な高脂血症薬投与有効
2004年 05月 06日
“β‐遮断剤”は、以前から知られていた(http://www.guideline.gov/summary/summary.aspx?doc_id=3149)が、スタチンが動脈硬化の安定化をもたらすのだろうか?
ベータ遮断財に関しては、“手術前の投薬によりリスクの高い人はβ遮断剤を使わなければならないのだが、まもってる医師は非常に少ない”に書いてあります。
Lipid-Lowering Therapy and In-Hospital Mortality Following Major Noncardiac Surgery
JAMA 2004;291:2092-2099.
780591名の患者中77082名の患者が脂質低下薬使用、23100名が入院中死亡。脂質低下薬使用は粗死亡率低下と関連(2.13% vs 3.05%, P<.001).propensity scoreによりマッチングを用いた分析では脂質治療薬使用患者1595名に対し治療を受けてないもしくは第2入院日に開始した群では4158名が死亡(p<0.001)
条件回帰解析を用いてマッチさせた群間比較でも、治療群では死亡リスクは低い(OR 95%CI 0.58-0.67
補正ORに基づけば、propensityマッチコホートにおける術後死亡予防NNT(number needed to treat)は85 (95% CI, 77-98)で、心血管リスク4以上の患者では30となる。
研究コホートとpropensity分位補正によると治療効果は継続する(adjusted OR, 0.71; 95% CI, 0.67-0.75)。
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違う話ですが
ところで、日本人のスタチン治療を批判している人たちを多く見かけますが、
異口同音に“J-LIT"のサブ解析による結果から判断されてますが、
ありゃ、対照をとっていない、エビデンスレベルの低いトライアルです。
地域性、民族、人種、遺伝子の解釈の混乱(一部には意図的なミスリードも含む)があります。
スタチンのターゲットであるHMG-CoA reductaseの遺伝的差異はほとんどありません。
日本と諸外国のスタチンの効果の違いがあるとしたら、遺伝的問題より生活習慣などの影響が高いわけです。急激に欧米化している日本人を考えれば、超高齢者を除けば、スタチンの有効性に差はないと考えるのが普通でしょう。
インフルエンザワクチンの有効性に関して、ある医師会の横断研究を金科玉条として批判しているのと同じ・・・しかも、親玉も一緒。
by internalmedicine | 2004-05-06 09:44 | 動脈硬化/循環器