老人のヘモグロビン濃度と死亡率:老人貧血の再定義が必要

A Prospective Study of Anemia Status, Hemoglobin Concentration, and Mortality in an Elderly Cohort
The Cardiovascular Health Study
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/short/165/19/2214
Arch Intern Med. 2005;165:2214-2220.
65歳以上の男女、5888名の地域調査で、11.2年のフォローアップ。
1205名の参加者で最小ヘモグロビン5分位は 男性<13.7、女性<12.6g/dLで、貧血(男性<13g/dL、女性<12g/dL)の比率は8.5%

逆J関係が死亡率との関係で見られた;年齢-、性-、人種-ハザード比(95%CI 第1,5分位は第4分位に比べ1.42(95%CI 1.25-1.62)、1.24(1.09-1.42)

地理的、完全補正ハザード比はそれぞれ、1.57(95%CI 1.38-1.78)と1.38(95%CI 1.19-1.54)であった。
貧血の原因・合併症(腎不全、炎症、frailty:虚弱性?)補正ではその関係は変わらなかった。
結論:ヘモグロビンの高低はWHOクライテリアによる貧血とあわせ、、死亡率増加と関連。
WHOくらいテリアはヘモグロビン値が低いほど独立したリスクを同定できない。
老人における貧血の臨床的な明確な同定・原因の検討が必要で、ヘモグロビン濃度の過剰増加に関しても同様。
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老人の貧血って定義も断定的なものでないようですね。
老化とともに、骨髄の造血能力というのは下がるのが当然のような気がしますが、
この調査だと死亡率と関係する値だと男 13.7 女 12.6g/dLと、問題となる値が広がります。



さらに、腎機能に絞った検討・・・WHO定義貧血までなると、腎機能の低下が有る程度大きく関与、中等度だと未だ原因不明と読めます・・・

Renal Function, Erythropoietin, and Anemia of Older Persons
The InCHIANTI Study
Arch Intern Med. 2005;165:2222-2227
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/165/19/2222
WHOクライテリアに従う貧血頻度は12.0%で、年齢とともに増加する。
年齢、疾患、他の寄与因子にて補正後、CrCl30 mL/min(0.50mL/s)以下の対象者のみCrClの高い群(>1.50mL/s)と比べて有意に貧血の頻度が多かった。
CrCl30 mL/min(50mL/s)以下の場合、有意に年齢・ヘモグロビン補正エリスロポイエチン値が低かった。
30mL/min(0.50mL/s)以下の男女を除外したときに、腎機能低下と貧血頻度の増加の傾向があったが、統計学的に有意ではなかった。
結論:重症の年齢と関連する腎機能低下はエリスロポイエチン分泌・貧血と関連し、中等度腎機能異常の場合は貧血のリスク増加と関連しているかどうかは未だ不明。
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さらに、貧血と心不全入院患者との関係・・・・
       ↓
Anemia and Outcomes in Patients With Heart Failure

A Study From the National Heart Care Project

Arch Intern Med. 2005;165:2237-2244.
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/165/19/2237

貧血が心不全のアウトカムにとって悪影響を及ぼすが、合併した病態が広範囲に及ぶため補正困難。結果として、貧血は真に独立したリスク予後因子、合併症の予後因子であるかは不明である。

Centers for Medicare & Medicaid Services’ National Heart Care Projectからのデータ

65歳以上の50405名の急性期医療病院に入院した患者データで、心不全(HF)と診断した患者。

補正されない解析で、低ヘマトクリット値は、1年死亡率とHFの再入院と関与
40%-44%より大なる患者と比較して、24%以下の患者は51%ほど死亡率が高い
(RR 1.51; 95% CI 1.35-1.68; P<.001)

そして、17%ほどHF関連再入院リスクが多い
(RR, 1.17; 95% CI, 1.01-1.34; P = .04).

しかし、多因子や他の臨床要因にて補正後、Hctと1年死亡率の増加の関連は劇的に解消され、非常に重症の患者でさえその傾向になる(hematocrit, ?24% vs >40%-44%: RR, 1.02; 95% CI, 0.86-1.19; P = .85).
低HctとHF関連再入院の挿管は多変量解析後も持続(hematocrit, ?24% vs >40%-44%: RR, 1.21; 95% CI, 1.04-1.38; P = .01).

結論:貧血は再入院の独立した因子であるが、HF患者の死亡率増加の関連は合併症の重症度で大部分説明可能である。この所見は主に、老人HF患者の死亡リスクの増加の因子より大きな因子であろう事は判明した。
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日本のデータ<日本医事新報(10.29分)>から・・・
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      男性 %         Hb         女性 %         Hb
29~59(成壮年) 100.0土8.1 14.8土1.2 100.0〔88.5〕土6.9 13.1士0.9
65~74(早期高齢者) 93.2土6.5 13.8土0.9 95.4〔84.5〕士8.0 12.5土1.0
75~84(後期高齢者) 91.2士8.9 13.5土1.2 93.1〔82.4〕士7.4 12.2土0.9
85以上(超高齢者) 75.0土11.7 11.1士1.3 89.3〔79.1〕土8.5 11.7土1.0
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老人主体の外来をしてると、MDSを多く見かけます。老化現象の一種なのだろうと思いつつ・・・集積性のある家族もみつけてます・・・田舎開業医の醍醐味か・・・
・・・といっても最近は骨髄穿刺はひとまかせになってきてまして、近くに専門施設がないので、遠くの専門施設へ紹介・・・でも なかなか 移動手段に乏しい患者さんたちはいきたがらない
・・こういうまだ不明な点が多いし、治療も確立してない病気はセンター化した医療機関で見てもらった方がよいと思いつつ、田舎にはないや・・・と愚痴。

田舎に住むが上のデメリットというのは都会人には想像も付かないのでしょうなぁ
・・小泉ちゃんが圧勝したので、弱者にはますますきびしい時代になりましたが、
小泉ちゃんのおじぃちゃんも、山の中の集落に住んでいたことをちょっとでも頭の中に
よぎってもらえればいいのですが・・・
二世議員が多い故、都市部にしか住んだことのない政治家ばかりで、地方亡国論などと
ほざくばかりで・・・とさらに愚痴

by internalmedicine | 2005-10-25 08:55 | 医療一般  

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