むちうち症は 積極的に治療するほど 回復が遅れる
2005年 10月 25日
カナダは、むちうち(Whiplash)の研究がさかんなのか・・・
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_43.htm
“頸部圧痛、筋肉痛、頭痛、腕・手・肩に放散する疼痛、しびれの5つの症状と徴候が予後因子として浮上”の研究があったらしい・・・
診断したら、治療ということになるが・・・むしろ、積極的に現行の治療したら回復が遅れるじゃないの・・・という論文
↓
Initial Patterns of Clinical Care and Recovery From Whiplash Injuries
A Population-Based Cohort Study
Arch Intern Med.
2005;165:2257-2263.
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/165/19/2257
背景:急性のwhiplashの臨床的ケアの効果的なパターンについての知見はすくない。
早期の医療パターンが回復速度に関連するかどうかのコホート研究をデザインした。
方法:2486のSaskatchewan成人。医療機関とその診療回数で8つの初診パターンを定義
初診時の医療の種類と強度と回復速度は独立した相関がある。
GPで受診数少ない受診群は、回復期間がもっとも早い、受傷重症度・他の寄与因子補正後も同様。
この群と比べ、受診回数の多いGP受診群は1年後の回復率は27%遅い(adjusted hazard rate ratio [HRR], 0.73; 95% confidence interval [CI], 0.61-0.87);
利用回数の多いカイロプラクティック利用群は39%遅い(HRR, 0.61; 95% CI, 0.46-0.81)
受診・利用回数の多いGP+カイロプラクティック群は28%遅い(HRR, 0.72; 95% CI, 0.57-0.91)
GP+専門家受診群では31%遅い(HRR, 0.69; 95% CI, 0.55-0.87).
結論:授章後1ヶ月以内における受ける医療の種類タイプにより回復速度が異なる。
この研究では早期の積極的ケアが必ずしも回復を促進するとは思えない。
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医療介入が多いほど治癒が遅れるという論文・・・・>整形外科系の通称リハビリにはそういうのがおおいのではないかと・・・勝手に想像
こう書くと・・・ブラッドなんたらいうのに治療誘導がなされる危険性があるので追記する。
なぜなら、小さい瘻孔があるのに、あんなことしたり・こんなことしたりして傷口をひろげてるからだという理屈を付けられてしまう可能性を危惧する。
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“むちうち≠ 低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)と思うのだが・・”
http://intmed.exblog.jp/1941240/
に書いたように・・・治療の根拠に疑問を持っている。
唯一根拠としている論文はあくまでも診断の論文であり、治療の論文ではない。また、むちうちとは一言も書いてないのである・・・
・・・医療一般にいえることだが、結果が良ければそれも優れた治療法となるので、是非対照治験をしてほしいものである。その上ではじめて治療方法としての評価の俎上にのるわけであるし・・・
(保健適応をみとめろなんてのは・・・細木数子の健康相談にも保健適応をみとめろといっているようなもんだ・・・というのは言い過ぎか?)
本来このblood patchingというのは、硬膜麻酔後の傷に対する治療に関してなされる方法らしく、Google scholar様に聞いても、Medline様に聞いても・・・むちうちに対する臨床効果の論文を見いだせない・・・
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むちうち症になやんでいる患者さんたちはかなり多い・・・、だからこそ、真に意味ある治療法をみつける必要がある。真に意味ある治療法は科学的・客観的分析がなされなければならない。
でなければ多くの人が多くの時間と費用を無駄遣いすることとなる。
by internalmedicine | 2005-10-25 12:02 | 運動系