小児肺炎球菌ワクチンにて、高齢肺炎減少
2005年 10月 27日
小児へのインフルエンザ義務接種という国際的に先進的なことをしており、後顧的に見ても地域への多大なる好影響をもたらしていたにもかかわらずである。
今度は、欧米で小児の肺炎球菌ワクチンが世代を超えて地域的予防に役立つという、日本における児童インフルエンザワクチンの効果の、肺炎球菌版といえる。
特に肺炎球菌は、肺炎のうちでも、重要な位置づけであり、耐性菌が問題となっている現今、反ワクチングループが変な活動をしないでくれと言いたくなる。
小児に対する肺炎球菌ワクチン接種で全年齢の発症が激減
http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/wcs-bun.cgi?ID=364973&FORM=biztechnews
“Atlantaで低年齢の小児に対する7価結合型肺炎球菌ワクチン(PCV7)の接種が開始される前と後の侵襲性肺炎球菌感染症の罹患率を比較した。その結果、予防接種によって、侵襲性肺炎球菌感染症患者が激減したほか、マクロライド耐性菌の感染も大きく減少したことが明らかになった。”という内容がLancet誌に掲載されたとされるが、
Incidence of macrolide resistance in Streptococcus pneumoniae after introduction of the pneumococcal conjugate vaccine: population-based assessment
The Lancet 2005; 365:855-863
アトランタでの続報のようで・・・
Changing Epidemiology of Invasive Pneumococcal Disease Among Older Adults in the Era of Pediatric Pneumococcal Conjugate Vaccine
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/294/16/2043?lookupType=volpage&vol=294&fp=2043&view=short
JAMA. 2005;294:2043-2051.
50歳以上の成人男性における侵襲性の肺炎球菌感染症は28%(1998-1999)→29.4%(2002-2003)/10万対
65歳以上で、2002-2003の比率(41.7cases/10万人)は2010年目標(42cases/10万人)より低い
7conjugated vaccine serotypesによる疾患頻度は10万対22.4→10.2例と55%に減少
対症的に、16serotypeのポリサッカライドワクチンによる疾患は変化無し、若干他のワクチンのセロタイプは若干増加(6.0→6.8/10万対 13%;95%CI 1-27%)
1998-1999と2002-2003の比較で、HIV感染は1.7%→5.6&と増加し、肺炎球菌ポリサッカライドワクチンの適応状況は62.3%→72.0%と増加した。(P<.001)
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“小児に対して侵襲性の肺炎球菌をターゲットにした7価結合型肺炎球菌ワクチンであり、
成人に対しては23価だが、その勧告にかかわらず、肺炎球菌全般、双球菌肺炎など特定のアウトカム減少、高リスクや高齢者への有効性に関して議論がある”とのコメント
(Cochrane Database Syst Rev. 2003 (4):http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=14583920)
で、世間が肺炎球菌ワクチンで騒ぎ始めたころ、わたしは消極的に・・・・
読売をはじめとする馬鹿新聞が、肺炎球菌ワクチンを普及させない医者は低レベルだとか
朝日新聞をはじめとする反ワクチングループ共闘が、ミソも糞も一緒で、すべてのワクチンに反対をして、政策を狂わしている日本のワクチン行政・・・(一番悪いのはいったいだれ?)
・・・橋下弁護士が“たかじんのなんとか委員会”で言ってた通り・・・新聞社や新聞記者は自分の考えを書くな!と・・・真の専門家からのコメントや客観的事実のみを掲載しろ・・・同感である。新聞の意見を見聞きすると馬鹿がうつる・・・(新聞記者どもの妄言を聞けなくするワクチンはないのか!)
by internalmedicine | 2005-10-27 11:23 | 感染症