言葉のみだれ(過去の私のWebから)

大新聞社の世の中の言葉の乱れのご指摘、まことにそのとおりですが・・・・・




 H15.6.19“記者クラブ”で手に入れたであろう記事を、巨大新聞社“様”がたは、下々の読者に、ありがたくも、御報道なされております。



 誤用ということで

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「流れに棹(さお)さす」

・傾向に乗り事柄の勢いを増す行為をすること (産経)

・時流に乗って物事が順調に進むこと (毎日)

・傾向に乗って、ある事柄の勢いを増すような行為をすること (朝日)

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「役不足」

・本人の力量に対して役目が軽すぎること (朝日)

・能力・力量に比べて役目が軽すぎること (毎日)

・本人の力量に対して役目が軽すぎること (産経)

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などと、ありがたいお説教をなされておりました。





 「確信犯」の項目をみておもしろいと思ったのですが、

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「確信犯」

・政治的・宗教的などの信念に基づいて正しいと信じてなされる行為・犯罪またはその行為を行う人 (朝日)

・悪いことと分かっていながらの行為・犯罪 (毎日)

・政治的、宗教的な信念から正しいと信じて行う行為、犯罪 (読売)

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朝日新聞の提示した誤用は、“悪いことであると分かっていながらなされる行為・犯罪またはその行為を行う人”です。



「朝日新聞」 and 「確信犯」を“ググって”みましょう

http://www.google.co.jp/search?q=%E7%A2%BA%E4%BF%A1%E7%8A%AF%E3%80%80%E6%9C%9D%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E&hl=ja&lr=&ie=UTF-8&oe=UTF-8&start=10&sa=N



「朝日新聞」様ご指摘の通り、誤用の嵐です。



「確信犯」の誤用と思われるものが多く、検索されます。朝日新聞様の誤用の例示は大変おもしろいです。

なぜなら“行為・犯罪”または“人”と限定しているからです。

決して“法人”、“会社”、“新聞社”ではありません。

朝日新聞様は“誤用の確信犯”といわれないために、誤用をあらためて書いたんではないか・・・などと妄想をふくらましております。

もっとも朝日新聞は、信念の新聞社であり、“悪いことであるとわかっていながらなされる行為”である“珊瑚に落書き”なんて“確信犯”は行わないとおもいますので・・・





 カタカナ文字の理解度の高いものとひくいもののトップ5をそれぞれ掲載しております。

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(1)ストレス(精神などの緊張や圧迫) 92.6%

(2)リサイクル(廃品や資源の再利用) 91.1%

(3)ボランティア(奉仕活動をする人) 90.8%

(4)テーマ(主題、題目)       88.2%

(5)レクリエーション(休養、娯楽)  87.7%



《ワースト5》

(1)インキュベーション(起業支援)   3.3%

(2)エンフォースメント(施行、執行)  3.4%

(3)コンソーシアム(共同企業体)    4.1%

(4)タスクフォース(機動部隊)     4.9%

(5)メセナ(企業の芸術などの援助活動) 5.7%

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意外だったのが“ストレス”を多くの方がただしく理解していると言うことです。



 “ストレス”というのは、もともと、物理学用語で、「歪み」とか「ひずみ」を表すことばで、ストレス学説から生体内の恒常性(ホメオスタシスhomeostasis)の機能を破綻させる外界から有害作用(ストレッサー)に生じた現象を呼ぶわけで、

類似語として“distress”や“strictus”があげられ、“ストレス”という言葉はむしろストレッサーそのものより生体側がうまく適応できない現象を表現した言葉だったはずです。ストレス尺度表(社会的再適応評価尺度)などストレスの強弱は社会再適応のできなさをしらべたもので、ストレスの強さというのは、その尺度であり、ストレッサーの強度ではないのです。

 しかしながら、Webster英英辞典をみても一等最初に“強いる力”(constraining
force or influence)が書かれてますし、朝日新聞の説明である“精神などの緊張や圧迫”が近いようです。



辞書を引いてみるとやはり予想通りで、“ストレッサー”から“ストレスという病態”や物理的事象を含む広範な定義でした。

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1: the relative prominence of a syllable or musical note (especially with
regard to stress or pitch); "he put the stress on the wrong syllable"
[syn: {emphasis}, {accent}, {accentuation}]

2: a state of mental or emotional strain or suspense; "he suffered from fatigue and emotional tension"; "stress is a

vasoconstrictor" [syn: {tension}, {tenseness}]

3: (physics) force that produces strain on a physical body

4: special emphasis attached to something; "the stress was more on accuracy than on speed" [syn: {focus}]

5: difficulty that causes worry or emotional tension: "she endured the stresses and strains of life"; "he presided over the economy during the period of the greatest stress and danger"- R.J.Samuelson [syn: {strain}]

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(http://www.hyperdictionary.com/dictionary?define=stress)



 英語圏でも、“ストレッサー”=“ストレス”という表現があり、日本でもそれに応じて変化してきたのではないでしょうか?



 PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)という診断名にも“ストレス”という言葉が使われております。“Intrusions(外傷的な出来事の経験と継続する再体験)、Avoidance(と関連した刺激の持続的回避と、全般的反応性の麻痺)、Hyperarousal(持続的な覚醒亢進状態)”がこの病名にとっては重要で、実際には診断基準に基づく専門医の診断が必要な病態です。この場合の“ストレッサー”は、“トラウマ”と表現され、“ストレス”というやっかいな言葉をあまりつかわないようです。



 勝手な解釈かもしれませんが、どうも、ストレスという言葉は生体の状態を示す言葉から、ストレッサーというように、国際的にも定義がぼけたしまった言葉だと思われます。



 ストレスという言葉を皆さんがよく理解されているので、PTSDを拡大・勝手な解釈で、他者のストレッサーとなるひとがすくないことは喜ばしいことです(皮肉を込めて・・・・ ^^;)





さて、asahi.comのH15.6.14の“梅雨の体すっきりと 風呂で運動、リラックス”のなかに

“ストレスや疲労のために、梅雨のころは体調不良になりやすいんです。 ”という表現があります。

“疲労”も生体の恒常性にひずみを持たせるために問題なのであって、“疲労”も“ストレッサー”のはずですが、なぜ疲労を別に書いたのでしょうか?まさか、朝日新聞たるものが誤用するはず無いですよね。




 “ボランティア”ということばも、真にわかってるかどうかあやしいものです(ボランティア)。“ボランティアでやってるんじゃねえ”とほざく人が時々いますが、自主的にやっていないという意味なら正しいのですが、無償でやっている云々は関係ない言葉ですね。これは。


by internalmedicine | 2004-05-08 16:02 | 医療一般  

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