「タミフル服用で行動異常死」学会報告
2005年 11月 13日
朝日新聞 AND 浜六郎 AND インフルエンザ となれば・・・無視できず
「タミフル服用で行動異常死」学会報告 専門家は疑問視
2005年11月12日23時33分 asahi.com
asahiも、ちょっとは進歩したらしく・・・
"厚労省インフルエンザ脳炎・脳症研究班に所属する横浜市立大学の横田俊平教授(小児科)は「発熱や他の薬の影響なども考える必要があり、副作用と判断するには科学的根拠が薄い」と話している"と、対論を掲載している。
ウィルス感染症と行動変容なんてのは、ずいぶん昔から報告がある
たとえば・・・
Post-influenzal psychiatric disorder in adolescents.
Acta Psychiatr Scand. 1988 Aug;78(2):176-81.
流行地域で、15-18歳505名にて、113名でインフルエンザ抗体増加。
統計的解析で、インフルエンザ罹患より心理的な異常を有意に示した。
まぁ・・・これでタミフルによる変容行動への影響がないなんて断定すれば、浜六郎程度になってしまうので断言はできないが、少なくとも、わずか2例の報告で因果関係の科学的証明がない以上、この報告では、タミフルと異常行動の関連が断定できるはずがない。
産経は朝日よりレベルが低い。情報の裏付けをとらずに報道していることで新聞の質の低さが露呈される。
↓
<産経新聞>
学会で発表へ
抗ウイルスのインフルエンザ治療薬「リン酸オセルタミビル」(タミフル)の使用後に、異常行動をとって死亡したり睡眠中に突然死するなどの事例があることが分かり、医薬ビジランス研究所(大阪市)の浜六郎医師が、十二日に津市で開かれる日本小児感染症学会で発表する。治療薬が重大な副作用を起こす可能性を指摘する内容で、今後のインフルエンザ治療にも影響しそうだ。
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・・・・それにしても、まだ学会発表前だってのに、新聞社ってのは馬鹿ですな
読売は対論掲載
毎日がタミフル被害と断定して感傷的掲載のみで科学的根拠らしいことは記載無し
今回に限って言えば、科学性があると思われる順番は(目くそ鼻くそのレベルではあるが)
朝日>読売>産経>毎日 の 順番か?
日経は この 鳥インフルエンザ サイトカイン・ストーム を 紹介していた。
Proinflammatory cytokine responses induced by influenza A (H5N1) viruses in primary human alveolar and bronchial epithelial cells
Respiratory Research 2005, 6:135
“hyper-induction of cytokines may be relevant to the pathogenesis of human H5N1 disease”
鳥インフルエンザほどではないにしても、通常のインフルエンザでもこの高サイトカイン状態はありえるわけで・・・インフルエンザに起因する高サイトカイン状態は原理的にもうつ状態悪化と結びつく可能性がある。
by internalmedicine | 2005-11-13 13:58 | インフルエンザ