高リスク肥満患者へのやせ薬 Rimonabant の 効果
2005年 11月 17日

今回は、メタボリックリスクの高い人たちへの応用。
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Effects of Rimonabant on Metabolic Risk Factors in Overweight Patients with Dyslipidemia
http://content.nejm.org/cgi/content/full/353/20/2121
NEJM Volume 353:2121-2134 November 17, 2005 Number 20
研究完遂率は、プラセボ、rimonabant5mg、rimonabant20mgで、それぞれ62.6%、60.3%、63.9%
薬剤中止をもたらす最も多い副作用は、うつ・不安・吐き気であった。
プラセボに比較して、rimonabant 20mgにて
・体重減少
・ウェスト周囲経の減少
・HDLコレステロールの増加
・TGの減少
・血中adiponectinの増加

結論としては選択的CB1-受容体遮断剤であるrimonabantは優位に体重減少・ウェスト周囲経を減少し、高リスク患者の代謝的なリスク要因を改善する
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Rimonabantは選択的cannabinoid-1受容体(CB1)遮断薬であり、肥満患者に対する体重減少と、心臓リスク要因を減少作用がある。肥満-脂質研究(RIO-Lipids)で、adiponectin値を含む、代謝的リスク要因におけるrimonabantの影響が検討された。
新しい知見であるendocannabinoid(EC)系とcannabinoid CB1受容体のエネルギーバランスと体組成への影響が、体重減少と炭水化物・脂質代謝の改善への新しい目標となっている。
ECシステムは、局所的に産生される短期間活動性の、内因性リン脂質由来のアゴニスト(endocannabinoids)と、それらのアゴニストから活動化させられるGI/O-protein-coupled CB1受容体からなる。
CB1受容体は、脳・末梢、特に自律神経、肝臓、筋肉、消化管、脂肪組織に表出されている。最初に発見されたendocannabinoidであるanandamideを視床下部に、2-arachidonoyl-glycerolを側坐核(nucleus accumbens)に投与すると十分満腹であるはずのげっし類動物で食事摂取が促される。

野生種動物と比較して、CB1ノックアウトマウスではやせていて、このやせた原因は摂取だけでは説明できないとされる。
脂肪細胞のCB1受容体刺激にて、脂肪産生とadiponectin合成阻害が生じる。adiponectinは抗糖尿病作用と抗動脈硬化作用を有する脂肪細胞由来のサイトカインである。
臨床的に開発された、最初の特異的CB1受容体遮断剤である、Rimonabantは、食事摂取・体重減少を動物実験レベルで示され、adiponectin遺伝子の表出を促すように、脂肪組織の代謝活動性の変容をもたらす。
肥満患者第3相研究、RIO-Europeで、rimonabantは有意な体重減少と糖尿病・心血管疾患におけるメタボリックリスク要因を減少がしめされたが、過体重のみをベースにした選択であった。
今回は、心血管リスクのより高いリスクをもつヒトを対象にした影響を見たものである。
by internalmedicine | 2005-11-17 10:48 | 動脈硬化/循環器