高環境中エンドトキシン濃度は喘息頻度を増加させる
2005年 11月 22日
白血球によるサイトカイン(TNF-α、IL-10、IL-12など)の産生はベッドルームのエンドトキシン濃度と逆相関し、子供における免疫応答のダウンレギュレーションを生じるなど、生まれた後すぐに居宅内のエンドトキシン曝露にさらされることは、アレルギーに対して防御的に働くことが研究で示されている。
今回は、喘鳴や喘息の頻度と居宅内のエンドトキシンの関係は明瞭でない。2552の居宅サンプルを解析したもの。
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Endotoxin Exposure Is a Risk Factor for Asthma
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 172. pp. 1371-1377, (2005)
方法:ハウスダストを陰圧吸引サンプルとして、居宅内5カ所から採取し、エンドトキシンを測定。831の居宅と、2456名の居住者
エンドトキシン濃度(EU/mg)と負荷分量(load:EU/m2)は相関性が高い(r = 0.73?0.79)
濃度平均分布(EU/mg)では
・ベッドルーム床 35.3(5-95パーセンタイル 5.0-260)
・ベッド 18.7(2.0-142)
・家族ルーム床 63.9(11.1-331)
・ソファー 44.8(6.4-240)
・キッチンフロア 80.5(9.8-512)
多変量解析にて、エンドトキシン値増加と喘息診断、前年の喘息症状、現在の喘息医薬品使用、居宅内に住むひとの喘鳴と相関。
この相関はとくに、ベッドルーム床・ベッドルームほこりが特に強く、成人にのみ見られた。
ベッドやベッドルーム床のjoint effectのモデリングにて最近の喘息症状補正Odds比は2.83(95%CI 1.01-7.87)
アレルギーの状況を層別化したときに、高いエンドトキシン濃度曝露下にあるアレルギー素因を有するものが、喘息や喘息症状を、アレルギーを有しないものにくらべて多いというわけでもない。
結論としては、居宅内エンドトキシン曝露は喘息頻度の増加リスクを有意に増加させる
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この論文なんかはおもしろいと思うけどなぁ・・・遺伝子によりエンドトキシンの作用にその差がでる。
TLR4 gene variants modify endotoxin effects on asthma.
J Allergy Clin Immunol. 2003 Aug;112(2):323-30.
免疫寛容のポイントは学童期か?
Environmental Exposure to Endotoxin and Its Relation to Asthma in School-Age Children
NEJM Volume 347:869-877 September 19, 2002 Number 12
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/347/12/869
新しい衛生仮説支持論文 1歳児の湿疹は2-3ヶ月時のリビングルームのエンドトキシンと相関
http://intmed.exblog.jp/657574/
衛生仮説:進歩版 “古い友人たちとの絶交がアレルギーを引き起こす”
http://intmed.exblog.jp/306982/
抗酸化作用のアレルギー性疾患悪化仮説:あらたな有害仮説を
http://intmed.exblog.jp/1797684/
by internalmedicine | 2005-11-22 11:32 | 呼吸器系