特発性間質性肺炎進行抑制にアセチルシステインが有効
2005年 11月 24日
癌となったら聞き慣れているので、納得してもらえる部分も多いのだが、生半可な知識でこの病気に対応するものなら、強力なしっぺ返しがある病気である。
特にこわいのは電撃的急性悪化・・・トイレで急変というのはたくさん経験する。診断時にとにかくこのことだけは家族・本人に説明しておかなければならないというのが経験上他医にすすめることである。
IFIGENIA(Idiopathic Pulmonary Fibrosis International Group Exploring N-Acetylcysteine I Annual)研究
特発性肺線維症(IPF)は慢性の進行性の間質性肺炎のことで、予後不良である。IPFの病理メカニズムは繰り返す肺損傷であり、繊維化の進行を特徴とする。ステロイドと免疫抑制剤が軽度だが、治療的利益がみられる唯一の治療法である(参考論文:末尾)
酸化・抗酸化不均衡がIPFの疾患進行に関与している、acetylcysteineは、majorな抗酸化グルタチオンであり、1日最大1800mgまで投与できるものであり、繊維化性胞隔炎を統計的に肺機能を12週治療で改善させたという報告もある。
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N-Acetylcystein 600mg×3回/日
プレドニゾロン 0.5mg/KgBW/日で開始→0.4mg/KgBW/日(2ヶ月)→0.3mg/KgBW/日(3ヶ月)→10mg/KgBW/日(4/5/6ヶ月にて減量し12ヶ月まで維持する)
azathioprine(2mg/kgBW/日)をATS/ERS国際カンファレンス(2000年、、2001年)()の推奨による通常ケアに加える
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High-Dose Acetylcysteine in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
http://content.nejm.org/cgi/content/full/353/21/2229
NEJM Volume 353:2229-2242 November 24, 2005 Number 21
182名割り当て:92名のacetylcysteine群と90名のプラセボ群
UIP(HRCTと組織学的所見にて専門委員会のレビューに合致した症例)
57名の患者でacetylcysteine
51名の患者にプラセボ
acetylcyteine群は肺活量や拡散能低下を抑制
12ヶ月後絶対的変化は肺活量で、絶対量で0.18L(95%CI 0.03-0.32)、相対的相違で9%
0.75mmol/min/kPaskal(95%CI 0.27-1.23)
拡散能に関しては、0.75 mmol/min/kPa(95%CI 0.27-1.23)、24%
アセチルシステイン群で死亡率は9%、プラセボ群で11%と有意差無し
副作用に関して有意差無し、ただし、骨髄毒性が若干減少傾向がacetylcyteine群ではみられた(P=0.03).
結論としては、1日3回600mgのactylcysteineは、プレドニゾロンとアザチオプリン併用にあわせ使うと肺活量とDLCO低下を予防し、肺機能予後を標準治療より改善する
<参考文献>
Douglas WW, Ryu JH, Swensen SJ, et al. Colchicine versus prednisone in the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis: a randomized prospective study. Am J Respir Crit Care Med 1998;158:220-225.
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/full/158/1/220
Raghu G, Depaso WJ, Cain K, et al. Azathioprine combined with prednisone in the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis: a prospective double-blind, randomized, placebo-controlled clinical trial. Am Rev Respir Dis 1991;144:291-296.
Selman M, Carrillo G, Salas J, et al. Colchicine, D-penicillamine, and prednisone in the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis: a controlled clinical trial. Chest 1998;114:507-512.
Johnson MA, Kwan S, Snell NJC, Nunn AJ, Darbyshire JH, Turner-Warwick M. Randomised controlled trial comparing prednisolone alone with cyclophosphamide and low dose prednisolone in combination in cryptogenic fibrosing alveolitis. Thorax 1989;44:280-288.
肝心の薬剤が使えないのは、日本の特徴だが、これものである。
COPDなどもエビデンスがあるのはこのAcetylcysteineのみと考えて良さそうだが、
CarbocysteineやAmbroxolはまだエビデンスが少々あるので許せるが、
外科・麻酔科出身医者に多いビソルボン医者は頭悪いのでは?
by internalmedicine | 2005-11-24 11:04 | 呼吸器系