大腸がん検診における、高齢者検診のリスクとベネフィット

日本の検診というのは、どれもこれも、リスク層別化という概念が全くない。このために、無駄無益、時に、無駄な侵襲的検査をもたらすような結果となっていることも多い。確かに、侵襲的な検査をもたらすような検診というのは、それ自体が、老年者や健康状態の悪い対象者には有益性より有害性がうわまる可能性がある。

古くなったが、近藤氏がのべている検診有害論はすべてが正解ではないが、謙虚に考えるべき部分はある。

Comparing risks and benefits of colorectal cancer screening in elderly patients.
Gastroenterology. 2005 Oct;129(4):1163-70.
余生が限られている患者に、大腸がん検診は果たして有益性上プラスになるのか?
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この評価は、NNT( the number needed to screen)という方法で比較されている


3つの戦略:毎年の便潜血検査、5年ごとのflexible sigmoidoscopy、10年ごとの大腸ファイバー(CF)

潜在性のベネフィットは年齢、期待余命年数、検査方法によりばらつきがあった


1つの癌関連死を防ぐには、
70-74歳の男性では、
CF検診で42名
便潜血検査で178名の検査

健康状態が悪い75-79歳の女性では
CF検診で431名

平均的健康状態の80-84歳の男性では
CF検診で945名


【結論】
生命予後年数の異なる老人患者において、検診の潜在的なベネフィット・リスクは様々
個々の患者において、検診の有害性の可能性は、利益の尤度、特に生命予後年数の短い可能性のある対象者では、重きが置かれなければならない

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ちなみに、過敏性腸症群の患者は、大腸ファイバーしても満足できないらしい
・・・the journal Gastrointestinal Endoscopyの12月号に発表されるらしい

by internalmedicine | 2005-11-30 17:13 | 消化器  

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