Clostridium Difficileによる院内感染

Clostridium Difficile(CD)関連疾患が増加し、とくに新しい種類のC. difficileの出現が急激という話


CDの毒素遺伝子遺伝子変異株の流行
An Epidemic, Toxin Gene-Variant Strain of Clostridium difficile
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa051590
Published at www.nejm.org December 1, 2005
restriction-endonuclease analysis(REA)・pulsed-field gel electrophoresis(PFGE)、毒素タイピングにて分類

PCRにて、binary toxin CDTとlocus gene tcdCの欠失を検出するために用いられ、それが、toxin A と Bの産生増加と関連している


CD関連下痢症のクローン的な多施設流行
A Pblueominantly Clonal Multi-Institutional Outbreak of Clostridium difficile-Associated Diarrhea with High Morbidity and Mortality
Published at www.nejm.org December 1, 2005 (10.1056/NEJMoa051639)
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa051639
ケベックでの病院。
1719のC.difficile関連下痢に関して1719のエピソード
1000入院につき22.5の頻度
30日入院死亡寄与比率は6.9%

この寄与率で、マッチさせた対照より多いものは
・フルオロキノロン系:3.9 95%CI 2.3-6.6
・セファロスポリン:3.8 95%CI 2.2-6.6

主な種類は、フルオロキノロン系で157例中129例(82.2%)で
binary toxin geneやTcdC遺伝子の部分欠失が132例(84.1%)に認められた。


<Editorialから>
成人の約3%、入院患者の20-40%がC.difficileがコロナイズしていて、spore formとして代謝的にinactiveな状態である。
細菌叢を叩くことがvegetative formへ転換を促進することとなり、複製(増殖)を促し、毒素を産生することとなるという仮説がある。この臨床的特徴は水性下痢であり、けいれんであり、偽膜性大腸炎としてしられる。
毒素A、Bは、細胞培養中の線維芽細胞のactin-cytoskeltonを破壊し、Rho蛋白のuridine 5'-diphosphate glucose依存性glucosylationによる腸上皮細胞の障害が関与されている。
現在、院内感染下痢症の頻度の高い細菌を原因とする原因と見なされている。
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“一定量に達するとトキシンA、トキシンBと呼ばれる毒素を産生する。トキシンAは、粘液分泌作用、粘膜障害、腸炎を引き起こし、トキシンBの細胞毒性はトキシンAより約1000倍強いが、腸管毒性はない。よって、トキシンAはC.difficileの病原性における最も重要な役割を担っていると考えられている。トキシンA、トキシンBは同時に産生され、主な症状はトキシンAによるが、トキシンBの共同作用によって症状に関与してくると考えられている。欧米では、偽膜性大腸炎のほとんどがC. difficileの感染によるものとの報告がある。”(参考

とあるが、

CDによる偽膜性大腸炎ととらえると、見逃しを生じ、下痢患者においては、ロストリジウム・ディフィシル関連下痢症の抗生剤投与患者では、サーベイランスが必要だろう

キノロン系にしろ、スポリン系にしろ、現在の医療にとって必要欠くべからざるものであり、
それを抜きにしては治療できない。ただ、抗生物質をつかった時の患者はこの注意が必要だろう。

私自身、ヘリコバクター・ピロリ感染除菌後に生じた偽膜性大腸炎の事例を経験している・・・除菌治療はするのは良いが・・・このリスク説明は絶対されなければならないと思っている。





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ある病院の対策マニュアル:http://www.city.shimonoseki.yamaguchi.jp/byoin/eKansen/manuCDiff.pdf


PPIs(プロトンポンプ阻害剤)と抗生剤併用でclostridium difficile悪化?
http://intmed.exblog.jp/504587/





ところで


院内感染となると・・・すぐにマスコミは医療事故だの騒ぐわけだが、これを根絶するのは不可能だし、それを達成するためには天文学的数字のお金がかかるだろう・・・実際に、川崎厚労大臣は、“医療制度改革大綱を取りまとめたことについて「日本の医療の価格は世界に比べて高くはないが、医療の質を落とさずにこのままでやっていくことができないことは分かっている”(参考)とのべており、今後は感染症対策に対して捻出できる予算は各病院益々すくなくなっていくであろうし、それとともに、人的・物的資源を感染対策に回す余裕は全くなくなってきている。院内感染の真の責任者は国であることに気づいてほしい。メディアも無責任な報道を繰り返すだけでなく、包括的に報道してほしい。

by internalmedicine | 2005-12-03 10:46 | 感染症  

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