テレビの中の心肺蘇生

英米では、心身・医学面へのメディアの悪影響を真正面から、とらえていると思います。

日本はほんとにメディアが王様状態・・・

メディア・バイオレンスなどは、佐世保の少女事件で漏れ出る情報から考えれば、映画やDVDなどのバイオレンスシーンが多大なる影響を与えたにもかかわらず、メディアではほぼ無視の状態。本来、真正面から立ち向かうはずの教育者の分析は惨憺たるもので、米国の小児科学会はガイドラインを作るも日本では動かず・・・

日本という国は、既得権益メディアにホントに首根っこを捕まれていて、それを批判することをしない・・・絶望的な気分になります。


医学系ドラマのないシーズンはないというほど、医療系ドラマが流されてます。白い巨塔がはじめてテレビドラマとなったとき、大学に入ったばかりで、医局という意味もわからず、教授様というのはとても刃向かえない、とんでもない制度なんだなぁ・・と、思ったもので・・・
実際自分が医者になったときは、回診などはほんとに教授の診療技術がすばらしいと思ったし、教授のソバにいるのは、教授の聴診所見に聞き耳をたてて、こぞって聴診をさせてもらったわけで・・・必然的に人が集まる・・・あれなんぞは、表面上見れば大名行列になるんだなぁ・・・と

心肺蘇生など比較的スタンダードが確立している内容が、テレビドラマの内容が放送に流れると、その正否が気になる。気になるだけでなく、誤解を受けてしまい、それが診療にも影響をうけることがあるわけです。
ERというドラマのおかげで、リアルに近くなったとはいえ、トンでも心肺蘇生をいまでもみることが有ります。心停止後除細動したり、心臓マッサージしているのに心電図にが平坦ということから、薬物の使用方法などACLSに合致することはほとんど無いし・・・


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Diemらは、1996年97の米国でのテレビの医学フィクションドラマを調査し、その中の心肺蘇生(CPR)の研究を行った。75%が心停止後生存し、多くの場合は外傷後であり、若年者においてであり、現実社会では正反対であるとのべている。
1998年のイギリスの医療シリーズでの研究では、やはりテレビの患者は若かったが、そして予後は統計的にリアルな世界と類似していた。
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多くの医学ドラマをみた人たちは、心肺蘇生を過大評価しているのではないか。テレビドラマでのCPR成功率は高い為ではないかという仮説(television effects hypothesis)を確認したも論文では
低い生存率にも関わらず、テレビにより、ヘビーな視聴者は、それを過大評価されるようにならされてしまっている。心理学的研究により、人々は統計的な基礎的な情報を無視して、vividな、ドラマチックな例を好む傾向になる。
医師は無力でなく、心臓が止まらない限り治療を止めてはならないというメッセージさえ含まれている。結局、ICU等で問題となっている"illusion of efficacy"を作り上げる。
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AEDや心臓マッサージなどをとりあげるのは非常に良いことだと思うが、かたや心肺蘇生を過大に評価しすぎる風潮を呼び起こし、無益な心肺蘇生が流布することとなり、ドラマの中でしか、医療を見ることのない警察・法曹関係者にも誤解を与えてしまう可能性があるようです。

by internalmedicine | 2005-12-03 17:14 | 医療一般  

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