レンサ球菌上気道炎第1選択薬にバナン・セフゾン急浮上の可能性
2005年 12月 19日
咽頭痛に関して抗生物質を用いることのガイドライン・・・> NGCでも、ペニシリン系以外ありえないという常識化されていた。
で、それにならい、セフェム系を上気道炎に処方している医者は、ダメだなぁ・・・と思っていたが、どうも、そうでもないらしい。
ここでは溶連菌による咽頭痛の抗生物質投与について
出典
(USの小児で毎年数百万の咽頭痛を生じると言われるが、その原因を生じる頻度の最も多い細菌である溶連菌群に対するもっとも使用頻度の高い薬剤は、セファロスポリンのような新しい薬剤との比較というのはなされてこなかった。感染症関係の大きな学会である、 ワシントンで行われたthe annual Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapyにて、11426人の子供で新しい薬剤の短期処方の検討で、古い薬剤の10日処方より新しいセファロスポリン系抗生物質が有効であるという報告がなされた。
Rochester Medical Centerの小児科での報告では
ペニシリン治療の25%は3週間以内に再診を受けに来る。アモキシシリン治療の子供の18%も同様である。古い世代のセファロスポリン系のは14%、そして、新規治療薬であるcefpodoxime(バナン TM)やcefdinir(セフゾン TM)の4~5日間投与では7%であった。
「多くの医師は古き治療の治療失敗率の高さにショックを受けているであろう。溶連菌咽頭痛の治療パラダイムが徐々に変化しており、第1選択薬としてセファロスポリンの使用を保証することも重大に考えなければならない」とPichichero (微生物・免疫学教授)がのべている。
短期的セフェム系に比較して長期使用ペニシリン系が好まれた理由は、コストの問題であるが、古い世代のセフェム系はペニシリン系に比べてコストが半減し、さらに、効果的であることを考えれば、このようなパラダイムシフトも考えられよう。
現状にてペニシリン系薬剤処方だと約4分の1の患者が、治療失敗となる・・・これは認容できないレベルであるが、多くの医師は、利便性・家族への医療負担・強力な薬剤とほぼ同等だろうという希望的観測により使用されている。もちろん医師は重症例では強力な抗生剤を処方しようとする。
過去37年の47の研究のメタアナリシスで、子供の溶連菌性の咽頭痛の、新規セファロスポリン系の4-5日投与が他薬剤よりより有効で、治療失敗率で見れば古いセファロスポリンの半分、ペニシリン系の3分の1である。
5日間程度と10日間という薬剤アドヘレンスの問題もあり、他の治験からだが、30-70%の両親が抗生剤の途中中断しているという報告がある。
─────────────────────────────────
日本の薬価
──────────────────────────────
サワシリン錠 250mg 16.2円×6カプセル×10日
バナン錠 100mg 107.1円×2×5日
セフゾンカプセル50mg 71円×3×5日)
──────────────────────────────
でみれば、ほとんど差が無くなる。Adherenceと治療失敗率から考えれば、第1選択薬は下記薬剤で良いのかもしれない。
上気道炎でバナンやセフゾンを処方している医者を馬鹿にしないぞ!
(溶連菌のPOCまで行われていればの話だが・・・)
(現時点では断定はできないが・・・Evidence levelは高そうな話ではあった)
by internalmedicine | 2005-12-19 15:05 | 感染症