心臓突然死の予知と予防法のガイドライン

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2003-2004年度合同研究班報告)から・・・


一般的な危険因子
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・年齢(高齢>若年)
・性(男>女)
・突然死の家族歴
・生活習慣(喫煙など)
・激しい運動
・高血圧
・糖尿病
・左室肥大
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II.突然死の予知と検査
有用とされる検査
1.心電図
(1)不整脈
(2)原疾患
(3)左室肥大
(4)ST-T変化
(5)QT間隔とそのばらつき(QT dispersion:12誘導心電図での最大QT間隔-最小QT間隔の差:正常値40-50msecだが、基礎疾患によって35,65,70msecでも問題に)

2.心拍変動
・SDNN(24時間平均NN間隔の標準偏差:正常値141±39msec)で、100msec以下のリスク増大
・Triangular Index(24時間のNN間隔について総数をのヒストグラムの頂点の高さで割った値:正常値37±15msec):20msec以下は不良
・ULF(0.0033~0.04 Hz)、VLF(=<0.04 Hz)、LF(0.04~0.15Hz 1170±203 msec^2)、HF(0.15~0.40Hz 975±203 msec^2)、total power
・pNN50(隣接するNN間隔の差が50msを超える比率)
・RMSSD(隣接するNN間隔の差の自乗の平均値の平方根: 27±15msec)

3.圧受容体感受性(BRS)

4.T Wave Alternans(TWA)
TWAとは、形の異なるT波が一拍ごとに口後に現れる現象。TWA陰性の場合不整脈事故が発生することはまれであり、陰性適中率が際めて高くなる

5.遅延電位(LP)
LP陰性の場合不整脈事故が発生しない陰性適中率は90%以上で高い
陽性適中率は30%で低い。

6.心臓電気整理検査(EPS)
徐脈性不整脈:二束ブロック+HV延長の完全房室ブロック移行:年2.3%
頻脈性不整脈

7.運動負荷試験
肥大型心筋症では、運動負荷により収縮期血圧低下例や20mm以上昇圧士アニ中年若年者は突然死の危険高い。
運動中の突然死予知を目的とした一定の運動負荷試験法は未だ確立していない。

8.遺伝子検査
LQTS、Brugada症候群、CPVT

9.心機能

突然死回避のための一次予防試験の結果からは有用性が証明されたものは少ない。
心機能は高危険群の同定とそれに基づくICD治療の結果から有用性が実証されている。

III.突然死の予防
1.不整脈
(1)心停止(蘇生例)二次予防としてのICD

(2)持続性心室頻拍:非虚血性が7割程度と日本での比率が高い。
(3)心室性期外収縮/非持続性心室頻拍:基礎疾患無い場合予後良好
(4)徐脈:不整脈死の約10%
2.心原性失神
3.心不全:NYHA悪化ほど突然死多い。
アミオダロン:報告にばらつき
β遮断剤:慢性心不全
ACE阻害剤:総死亡・突然死の減少効果
抗アルドステロン:重症心不全
4.虚血性心臓病
(1)急性心筋梗塞
(2)心筋梗塞後:心筋梗塞後1年死亡率10-20%。左室駆出率<40。多価不飽和脂肪酸摂取がすすめられているが・・・
(3)異型狭心症
5.肥大型心筋症:年間死亡率1-2%
6.その他の肥大を伴う疾患:高血圧・大動脈弁狭窄・スポーツ心
7.拡張型心筋症(DCM):左室駆出率30%以下、35%以下が一つのポイント
8.ARVC/D:持続性心室頻拍の約10%の原因。2時予防敏江tのICD第1選択
9.その他心筋疾患:心サルコイドーシス、筋ジストロフィー、慢性肺疾患、PSS,糖尿病などに合併する持続性心室頻拍・心室細動:予知困難に注意
10.Brugada症候群:一次予防の合意がまだ無いが、症状・心電図・EPSなどでICD適応を決める
11.QT延長症候群(LQTS):10%が心停止初発症状。
12.WPW症候群
顕性WPW症候群:突然死発症率0.02~0.15%/年
13.カテコラミン感受性多型性心室頻拍(CPVT)
 幼児期以降発症、運動により多型性心室頻拍・心室細動が誘発。運動・イソプロテレノール静注などで多形性・2方向性の心室頻拍から非常に早い多形性心室頻拍(毎分350~400)となり、心室細動
14.その他の不整脈
(1)非Brugada型特発性心室細動
(2)連結期の短い期外収縮による多型性心室頻拍
(3)副収縮の多い多型性心室頻拍
(4)QT短縮を伴う心室頻拍/心室細動
15.心臓弁膜症:
 大動脈弁狭窄症:平均60歳の成人で15-20%突然死
 僧帽弁逸脱症:逆流を伴う場合年間死亡率1.8%と推定
 人工弁置換例:年間死亡率0.5-2.4%と報告、生体弁は0.2-1%と低い


小児における突然死
1.乳幼児突然死症候群
(1)LQTS
(2)SCN5A遺伝子異常
(3)刺激伝導系異常
(4)脂肪酸代謝異常:ミトコンドリアにおける脂肪酸β酸化障害によるアシルカルニチンなどの蓄積
(5)その他:徐脈、無呼吸など
2.不整脈
(1)WPW症候群、(2)心室頻拍、(3)CPVT、(4)LQTS、(5)心伝導系の障害
3.Commotio Codis:野球・ソフトボール・アイスホッケー>フットボール、サッカー、ラグビー、ラクロス、ボクシング、膝蹴り、空手、拳や手で胸をつく
救命率10%で、プロテクターを着けても発生率は多い
4.先天性心疾患
5.肥大型心筋症
6.川崎病
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by internalmedicine | 2005-12-21 15:35 | 動脈硬化/循環器  

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