新型インフルエンザ(H5N1)のタミフル耐性化事例
2005年 12月 22日
タミフル耐性がかなり早く出現するかもしれないと恐怖が実感がわく
母親から感染し、1人を介しただけで、ニューラミニデース遺伝子変異というのは、驚愕!
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Oseltamivir Resistance during Treatment of Influenza A (H5N1) Infection
NEJM Volume 353:2667-2672 December 22, 2005 Number 25
13歳ベトナム女性、体重28Kg!
1月22日、1日の発熱・咳嗽発症。この前日に母親がH5N1ウィルス感染で死亡。母親は1日のみのOseltamivir治療を受けた。母親からの採取したウィルスではoseltamivir耐性mutanceは判明しなかった。初診時すでに75mgのoseltamivirを開始し、小児科病院へ搬送、入院時40.3度、脈搏106/分、呼吸回数36/分で、WBC 4800/μl、リンパ球、12%、血小板数18.3千/μL、血液培養陰性
2回目のoseltamvir、初回から6時間後に投与。入院後24時間で3回目投与
cdftriaxone+amikacin投与
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1月25日 oseltamivir投与4日めで、呼吸状態悪化し、高濃度酸素+CPAP療法
Vancomycin、ciprofloxacin、amikacin投与
WBC 1800/μL リンパ球 41%、ALT 144、AST 279 U/L
1月28日 右全肺と左下肺の肺炎陰影広汎で、同日死亡。剖検されず。
nueraminidase遺伝子のsequence analysisにて、アミノ酸排列274番目にてhistidineがtyrosinに置換(H274Y)が判明。
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同じNEJMの号で、個人のpill-stockingが批判されてます。
さて、この記事おもしろくて、医師の存在意義はここにあるのだろう・・・と思っている部分が記載されていた。
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医者が科学的エビデンスと職業専門家としてのスタンダードに基づいて医療を実践するものであり、少なくとも患者に利するものが合理性をもって存在する場合、有益性と有害性の比重をもって自己判断する場合、患者の要求に従うべきだが、もし、その範疇に有らざる場合、医師はその要求を拒否するのは正しい。
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個人の要求だけに従って、安易に患者への迎合することばかりを考えるな、科学的信念と職業的誇りを持って診療にはげもうではないか!
実際にpandemicが生じた場合は、(個人的に小泉はきらいだが)国民として、行政の命令に従わねばならないらしい・・・というのは以前記載。
by internalmedicine | 2005-12-22 11:39 | インフルエンザ