Googleが医療に及ぼした・及ぼす影響(BMJ)
2005年 12月 23日
Googleが医療に及ぼす影響・・・BMJ 2005;331:1487-1488 (24 December)
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医療系ポータルは論理的なネクスト・ステップ
A medical portal is the logical next step
世界の情報風景の変化をもたらした一年であった。昨年のクリスマス以来、突風が走った。世界の図書館のデジタル化が真剣にはじまったのである(著作権問題はあるが)。国際的に多くのニーズに支持されたオープンアクセス出版;Google、MSN Search、Yahooはデスクトップやモバイルへのカスタマイズされたツールを多く提供し、podcast、blog、Videaoサーチを提供。
Googleの影響とパワーは、大きく、医療ライブラリーに何をもたらしたか。
いかなる新しい有益なテクノロジーでも、不安をもたらすものである。NEJMにも、NYのリウマチ医が、診断に到達するまでの過程を呈示したフェローに教授が答えるシーンがあり、IPEX (immunodeficiency, polyendocrinopathy, enteropathy, X-linked)というレアな症例をぴたりと当てている。
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"William Osler," I offered, "must be turning over in his grave. You googled the diagnosis?"
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の一文
・・・・もはや医師はいらないのであろうか?
Google後の世界では、エビデンスベースの教育が先行するところでは誰もが推測をする。診断をgoogling、治療法をgoogling、すべてをリードしてくれる・・・・
Googleはサーチエンジンのバトルの勝者である、少なくとも現時点では。
Google Scholarがまた加わった。この一年でさらに多くの生医学的なジャーナルウェブサイトが出現し、PubMedより多くが訪問することとなった。これ以降、多くの医師・医学生たちはGoogle Scholarを好み、よりpeer reviewed reseach化され、特に高い引用アイテムが素早く検索でき、枯れ山の針を探す如く検索が可能となった。
BMJにどこから到達したか?
Source Number
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Google 345 756
Google Scholar 105 185
Yahoo 57 967
PubMed (Medline) 14 522
PubMed Central 9 616
HighWire Portal 8 617
MSN 2 336
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*Google&Google Scholarが他を圧倒している・・・・
科学系学会などはジャーナルをオープンアクセスへの移行にあるので、Google ScholarやElsevier's Scirus(www.scirus.com/srsapp/) はこの情報のゲートウェイとしての役割をさらに深めることとなろう。Scholarの特徴は引用数により上位にくるという特徴がある。これはペーパーで閲覧・引用されていることによるランキングである。故に、有益性が高い。library link programを通して各所のlibrary catalogueにリンクされ、WorldCatと呼ばれる国際的なデータベースを通して行われている。
臨床トライアル・システミックレビューする検索の場合、Scholarはもちろん分離して利用できない。PubMed、Cochrane他の信頼されているソース(TRIP、UpToDate database、優秀な図書館員)を加えることで使用することで有用。政府・カンファレンスペーパーを検索することが困難だが、Googleも検索することを忘れてはならない。
有益だが、疑問が残る。Googleは“学術的”をどうとらえているのか?
Googlehaデータベースとは何であるかを我々に答えたことがあるのか?
検索トップに示されるという現在のGoogleアルゴリズムはもっとも有益な検索であるといえるのだろうか?
データベースのアップデートはどの程度の頻度でなされてるのか?
今後のGoogleはなにをなそうとしているのか?
Googleを利用することに興味をもつFounderは、医学への進展に興味を持ち、Googleのデータ最小化技術は遺伝子sequence分析にも適しており、自信の遺伝子をgoogleする可能性さえ示唆するとFounderが答えている。
Googleはまだビジネスであり、“do no evil”であり、“humanityのためにベストをつくす”ということではない。しかし医学上必要とするものが有れば、Googlehaおそらくmedical portalを形成すべきである。インターフェースを医療的フィルターを用い、アルゴリズムの向上を図るといった場合、Google Medicineと呼べるかもしれない、情報伝達の悪い、発展途上国にも適するのかもしれない。
Google Medicineを作れ! 医療上の有益性は計り知れない。
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EBMジャーナルというところに、google.comがサービス開始したばかりの時に、べたほめの記事を書いたことがあったなぁ・・・・と しみじみ・・・
あのころは、Yahooなどの登録型and/orディレクトリー型検索エンジンが最盛期で、それは検索順の便利さ故、よく利用されていたと思う。あのころのgooなどは必要とするウェブを見つけるためズーと下位まで検索せざる得なかった。引用順による検索エンジンというのが受けたと思う。
この順位が純粋なら良いのだが、広告収入というファクターや、要望により順位が変更されるという危険性がある。だから、純粋なGoogle Medicineというのが望まれるのだろう。
国家関与の、公的なデータベース整備もやはり必要だと思うのだが、それは触れられていない。また、日本の学会は、ガイドラインまで商用的に売りつけており、広くあまねく、普及するというもともとの目的を失っている学会が多すぎる。・・・厚労省あたりが指導してほしいものである。医療情報系のあつまりってのは、データベースの構築方法や変わった使い方だけの議論で終わっており、真のinformation techonologyの議論が乏しいと私は思うのだが・・・情報の質の問題、S/N比など・・・
by internalmedicine | 2005-12-23 12:22 | 医学