加齢黄斑変性と抗酸化ビタミン
2005年 12月 28日
最近はビタミンEをはじめ否定的なトライアル結果が多いと思う。
その中で、加齢黄斑変性(http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/011.htm#):AMDに対しては肯定的な方向に固まってきているようである。
たとえば、Cochrane Review
今回もJAMAも同様の傾向であった・・・
Dietary Intake of Antioxidants and Risk of Age-Related Macular Degeneration
JAMA. 2005;294:3101-3107.
AMDは、発展途上国では最も多い失明原因。最近、βカロチン、ビタミンCやE、亜鉛などの高用量サプリメントがAMD進展を遅くすると説明。
食事性の評価(Rotterdam Study 1990-1993)の半定量化食事アンケート調査。2004年までフォローしAMDの頻度調査。55歳以上の居住者のpopulation-based cohort study
5836名のうち、4765名が信頼できるデータで、4170名をフォロー
メインアウトカム:AMDの頻度
8年フォロー後560名にAMD
ビタミンE、亜鉛の摂取とAMDは逆相関
ハザード比(HR)/SD
ビタミンE:0.92 95%CI 0.84-1.00
亜鉛:0.91 95%CI 0.83-0.98
4つの栄養素(βカロチン、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛))の中央値以上摂食は、35%リスク軽減:HR 0.65 95%CI 0.46-0.92
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もともと、
AHAステートメントの“科学的データからは、心血管疾患への予防・治療のための抗酸化ビタミンサプリメントの使用を正当化できない”もあるわけで、理論は立派でも・・・実際は・・・ということが多いこの分野
ビタミンE使用は・・・心不全悪化、入院増加 from the Annals of Internal Medicineというのが今年重要な論文として呈示された。
量的にも、高用量(≥400 IU/d)ビタミンEサプリメントは全原因死亡率を増加させるため控えるべきというのがかなり重要とおもわれたが、
American Journal of Clinical Nutrition (vol 81, no 4, pp736-745)で、ビタミンEサプリメント1600IU、ビタミンC 2000mgまでほとんどの成人で安全との報告もあるようである。
・・・さて、実際、高齢者にはどう指導すべきか?
AMDの文献も食事性の抗酸化ビタミンの分析であり、決してサプリメントに関するものではないということから考えれば、
食事性のビタミンとして摂ることが重要であり、サプリメントとして摂取するのは量的に控えるべきというのは共通していると思うのだが・・・
by internalmedicine | 2005-12-28 11:52 | 医療一般