鎮咳剤使用は慎重に from ACCP

ACCPの咳嗽ガイドラインの在処がやっとわかった・・・
   ↓
Diagnosis and Management of Cough
Executive Summary
ACCP Evidence-Based Clinical Practice Guidelines
(pdf)
らしい・・・


米国胸部内科学会(ACCP)は、市販の咳止めシロップやドロップには、咳を緩和する効果がないとし、慎重に購入するよう呼びかけている。マサチューセッツ大学医学部のリチャード・アーウィン教授が率いる指針委員会が、医学誌「チェスト」に発表した。

とのことだが
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In patients with acute cough due to the common cold, over the counter combination cold medications, with the exception of an older antihistamine-decongestant, are not recommended until randomized controlled trials prove they are effective cough suppressants.
Level of evidence, fair; benefit, none; grade of recommendation, D

In children with cough, cough suppressants and other over-the-counter cough medicines should not be used as patients, especially young children, may experience significant morbidity and mortality. Level of evidence, good; benefit, none;
grade of recommendation, D
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の記載に一致するのだろう。

要約すれば・・・
“成人には1世代の抗ヒスタミン剤+うっ血除去混合剤以外の鎮咳剤は推奨されない
小児においては、鎮咳剤や市販の鎮咳剤を使用すべきでない、とくに幼児では。合併症リスク増加や死亡率増加の可能性さえある。”



根拠の一つとして・・・CochraneのOver-the-counter medications for acute cough in children and adults in ambulatory settings (Cochrane Review)がソースなので・・・
24のトライアル(成人17、小児7)、3392名(成人2876名、小児516名)
6つのトライアルでプラセボと比較
・コデインはプラセボに比べて咳嗽症状軽減の有効性なし
・dextromethorphanはプラセボより有用性のある報告有るも、1/3に有効性認めず

・Moguisteineは夜間重症咳嗽の咳嗽改善にプラセボより有効という報告もない。

・guaifnesinとプラセボの比較2つ
大規模研究で、guaifenesin治療群は75%有効で、対象は31%
2つ目の研究では咳回数と重症度は改善したが、統計的有意差なしの報告

・去痰剤
1つの報告
積極的治療で咳回数と症状スコアを改善

・抗ヒスタミン鬱血除去薬
2つの研究で、プラセボより有効1つと、もう一つは有意差なし
2つの研究とも咳症状は軽減には有効だが、1つでは夜間症状のみ有効
3つの研究で咳症状改善がプラセボより有効でないと説明

<小児>
鎮咳剤はプラセボより有効でない(1つの研究)去痰剤は1つの研究でプラセボより有効
2つの研究で、抗ヒスタミン剤・鬱血除去薬混合物はプラセボと有意差なし
咳シロップのトライアルで、プラセボの有効性21%と比較して、46%・56%と有意差をもって有効性
小児の鎮咳剤・気管支拡張剤混合との比較では治療群において差がなかった。
抗ヒスタミンではプラセボより遊行し絵が証明されてない(1つのトライアル)
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 ↑
Cochraneていうのは、著作者が混合してるためその表現がまどろっこしいし、統一性がない。

この前かぜに関する記述物を書いたので、咳に関する引用が早くも誤りと思ってびっくりしたが・・・鎮咳剤というのは意外に有効性が確立されているとはいえないということは確か


日本においてはβ2刺激剤が使用されることが多い。しかしながら、Cochraneに従えば・・・
同様に、“この薬剤は、気道閉塞を示す急性気管支炎の咳嗽を含む症状軽減効果があるかもしれない。しかし、潜在的な利点が副作用に勝るということを支持するデータがない。”
・・・このことを、理解しておかなければならない。

by internalmedicine | 2006-01-20 12:17 | 呼吸器系  

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