乳幼少児の重症肺炎に対する亜鉛補給: かなり良い!
2004年 05月 21日
Zinc for severe pneumonia in very young children: double-blind placebo-controlled trial
Lancet 2004; 363: 1683-88
乳幼少児では肺炎は合併症・死亡率として一位であり続けている。早期の重症サイン:レントゲン所見、低酸素血症、頻呼吸の改善があれば治療アウトカムを改善する。亜鉛は、急性期反応物質(APR)であるが、重症肺炎の期間や入院期間を結果的に減少するかどうか?
二重盲検プラセボ対照臨床試験で、2-23ヶ月の270名の小児で、亜鉛をランダムに投与。アウトカムは重症肺炎の終了時(レントゲン所見正常化、呼吸回数60以下、室内空気にて95%以上の酸素飽和度)であり退院である。退院は24時間で呼吸回数40以下で経口投与のみ可能なとき
亜鉛投与群は重症肺炎の期間を減少(相対ハザード[RH] 0.70 95%CI 0.51-0.98)で、レントゲン所見正常化(0.80 0.61-1.05)、呼吸回数50以上(0.74 0.57-0.98)、低酸素血症 (0.79、0.61-1.04)、包括入院期間(0.75(0.57-0.99)
平均減少は重症肺炎と入院期間は1日に相当。
喘鳴を除いた小児で、すべての効果が良好。
1日20mgの亜鉛投与というアジュバント治療により重症肺炎からの早期回復が可能で、多くの抗生剤投与をさけることで抗生剤抵抗性を減らすことができ、2次薬剤で生じるかもしれない合併症や死亡をさけることができるかも。
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<考察から>
亜鉛は、急性反応物質(APR)として記載され、急性感染症の時にサイトカインを介する
直接測定困難でもある。亜鉛の組織のバイオアビリティーを最大限にすることにより免疫応答を回復し、改善が迅速化したのではないか。
もう一つの可能性は、炎症の拡がりと感染の周囲の改善にかかる役割であり、亜鉛補給で炎症性病態を防御死、亜鉛欠乏が細胞障害と炎症を促進する可能性がある
亜鉛の存在下では、動物モデルで多臓器の炎症を減少、細菌の増殖抑制、細胞再生を増加させる
何故、喘鳴を有する急性下気道病変の患児で、効果がなかったかは不明だが今後検討が必要。
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こうかくと、サプリメントの販売促進業者やQuackeryが亜鉛の宣伝をするので以下の補足↓
<すぎたるは及ばざるがごとしで>
・亜鉛過剰で、亜鉛誘起性低銅症を引き起こし、貧血・白血球減少・好中球減少症
参考
・亜鉛過剰でマウスの精子減少
参考
・亜鉛過剰供給とは関係ないかもしれないが、高亜鉛血症にてリウマチ症状
参考
by internalmedicine | 2004-05-21 14:27 | 呼吸器系