持続性β刺激剤に問題があるのか?
2006年 02月 03日
に関連して・・・まとまった、論文があった。
Is there a problem with inhaled long-acting β-adrenergic agonists?
Journal of Allergy and Clinical Immunology Volume 117, Issue 1 , January 2006, Pages 3-16
LABAの定期吸入は気管支拡張剤へのトレランスト、albuterolの反応の減弱化、肺機能のベースの低下、メサコリンへの反応増加、心血管イベントリスク増加との関連はない。
症例対照研究では、LABA使用による死亡やICUのリスク増加を示唆することもない
前向き研究では、喘息死や重症の喘息悪化の増加を示したが、ICS使用患者ではその現象はみられなかった。
このことは、薬剤そのものの直接作用でなく、β2刺激剤の一時的な症状改善や医療機関受診の遅れに起因するものと思われる。
LABAに関しては、専門家は基本的には最後の文章で落ち着きそうな方向である
これって、ベロテックなどの短期的β2刺激剤の使用量増加と喘息死死亡増加に関する議論やその前の1980年前後の喘息死問題など、“喘息死は薬害→むしろ使い方に問題”を繰り返し、今回のSMART研究結果で私が知る限り3回目だと思う。
2回目の時は、櫻井さんがまったくの勘違いしつつテレビでほえまくったおかげで知ってるひとも多いと思う。・・・この辺の経緯はインターネットで拾えると思う。
左が喘息有病率・右が喘息死亡率

日本では経年的に死亡数が減少している
http://www.iscb.net/JSPACI/zensokusi.html
1995年の軽度増加はインフルエンザが比較的はやった年なのである。・・・神戸の震災の年
http://idsc.nih.go.jp/iasr/17/201/graph/f201-1-j.gif
ジャーナリストやらがミクロ的な視点で・・・視聴者をミスリードした事件として私の心の中に記している。
その後、櫻井さんは最近医療系に口出しをすることが少なくなった気がする・・・ほかの方面でまっとうな活躍をしているようで・・・その方面の立証主義的な活躍には拍手を送りたい気がする
by internalmedicine | 2006-02-03 15:08 | 呼吸器系