SU剤(ATP依存性Kチャンネル作用性)は死亡率を増加させる

元の論文:
Dose–response relation between sulfonylurea drugs and mortality in type 2 diabetes mellitus: a population-based cohort study
CMAJ • January 17, 2006; 174 (2)

以前から指摘されていた心筋細胞のATP依存性カリウムチャネル作用SU剤の有害性が、臨床的に証明され、しかも、用量依存的であったという話


Jornal Watchにも登場した・・・・


Do Sulfonylureas Increase Mortality?
http://general-medicine.jwatch.org/cgi/content/full/2006/203/1


1970年のUniversity Group Diabetes Program study、SU剤が心血管合併症を増加するという議論
tolbutamide使用が消えたため忘れ去られていた。Saskatchewan、カナダ人研究者の後顧的研究により、SU剤とmetformin使用のmortalityが研究された。

1991年から1996年にて4138名の糖尿病患者(平均 約65歳)をglybride単剤で開始し、1537名をmetformin単剤で開始。
平均5年フォローアップで、glyburide使用者1000人年61名死亡、metformin使用者40名死亡
高用量glyburideは低用量より全原因死亡率が多く(HR 1.3)、心血管性虚血でも高い(HR 1.4)

反対に、高用量metforminは全原因死亡率、心血管死亡率を低用量より悪化することは無かった。
この分析は、年齢、慢性疾患スコア、亜硝酸剤使用、医療機関受診回数などを補正したものである

コメント:
後顧的研究からの結果はmetforminがglyburideより安全であるが、provoativeな現象であり、他の抗糖尿病薬のアウトカムに関して付加的な研究が必要である。


言論分は、SU剤と心合併症の説明が心筋細胞レベルでのメカニズムについて議論されており、
フリーアクセスできる





解釈によっては、また糖尿病の薬物治療を制限することとなる

“glyburideやglipizideは,心筋細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用するのに対して,新しく市販されたglimiprideは,心筋細胞のチャネルに作用しない。チアゾリジン系薬物であるtroglitazoneは,心筋細胞のカルシウムチャネルとATP依存性カリウムチャネルに作用するのに対して,pioglitazoneは作用しない。”
“心臓のATP感受性カリウムチャンネルを閉じるグリベンクラミドやグリメピリドを避けたほうが無難だ。”


などの指摘は、以前からされている。



グリベンクラミドと同等と考えれば、オイグルコン・ダオニールも同様なのか、さらに新しい世代のアマリールはどう考えればいいのかと・・・


アマリール6mgにてHbA1c7%後半で、コントロール悪い患者さんが脳梗塞で倒れて他病院搬送・・・メトフォルミン投与されて帰ってきた!・・・HbA1c9%となっている。
確かにmetforminが動脈硬化を考えればよいのかもしれないが、糖尿病コントロールを悪くしてまでそれにこだわるべきかといえば疑問。初期治療にインスリン感受性を考慮しながら薬剤開始せざる得ないのではと思うのだが・・・

日本の糖尿病の権威というのは、製薬会社とべったりしすぎて、スポンサーにより話を変えたリするので信用できない。

by internalmedicine | 2006-02-07 11:09 | 動脈硬化/循環器

 

<< 家庭内バイオマス燃焼によるCO... 持続性β刺激剤に問題があるのか? >>