配偶者の入院により死亡率増加
2006年 02月 16日
今度は相手が入院したときの死亡リスク・・・
Mortality after the Hospitalization of a Spouse
NEJM Volume 354:719-730 February 16, 2006 Number 7
http://content.nejm.org/cgi/content/short/354/7/719
配偶者の入院後の死亡率増加は世話をしている方への健康へ影響をもたらす。
老人における配偶者の入院とその影響としての死亡リスク増加を分析
1993年のメディケアにおける518240組の夫婦。
383480名の夫(74%)と347269名の妻(67%)が少なくとも1回は入院
252557名の夫(49%)と156004名の妻(30%)が死亡
配偶者の入院後死亡率は診断によりばらつく
男性において、それぞれ各疾患により配偶者の入院後死亡
結腸癌 6.4%
卒中 6.9%
精神疾患 7.5%
痴呆 8.6%
女性において
結腸癌 3.0%
卒中 3.7%
精神疾患 5.7%
痴呆 5.0%
関連因子補正後、男性の死亡リスクは
直腸癌 1.02 95%CI 0.95-1.09
卒中 1.05 95%CI 1.03-1.09
うっ血性心不全 1.12 95%CI 1.07-1.16
大腿骨々折 1.15 95%CI 1.11-1.18
精神疾患 1.19 95%CI 1.12-1.26
痴呆 1.22 95%CI 1.12-1.32
女性においても男性と同様の傾向
総じて、
男性は配偶者の入院と関連した死亡リスクは22%(95%CI 17-27%)増加
女性は配偶者の入院と関連した死亡リスクは16%(95%CI 8-24%)増加
老人における配偶者の入院は死亡リスク増加と関連しており、配偶者の疾患によりその影響はばらつきが見られる。
対人間健康の影響は臨床的・政策的な意味をもつ
日本の医療保健施策というのは、役人の頭だけのエビデンスだから、こういうことへはおそらく何の対策もとられないだろう(対策をとるというまねだけして・・・)
介護保険は、認知症と整形外科疾患のための制度だそうだからまさに無策
認知症や性心疾患がパートナーにどれだけ精神的ストレスがかかるかは、想像に難くない
そして、骨折・心不全のほうがおそらく悪性腫瘍より実際の手間がかかることが想像される。
そういう面で、癌に対する対策より、認知症や心疾患・骨折などに対する保険をかけてた方がよい?
(保険というのはネットで計算すれば絶対損するはずだから個人的にはだいきらいだが・・・)
by internalmedicine | 2006-02-16 18:19 | 医療一般