非定型向精神薬のアルツハイマー病への治療:メタアナリシス

1)非定型抗精神病薬より以前の抗精神病薬の方が死亡リスク高い
http://intmed.exblog.jp/2743476/
というのがあったが・・・非定型抗精神病薬について、アルツハイマー病の攻撃性や精神症状への治療効果のメタアナリシス

2)今月のアメリカ家庭医学会記事 (Am Fam Physician 2006;73:647-52, 653-4.)
においては・・・
認知症における精神症状には非定型精神病薬治療を用いるべき:エビデンスレベル A



“痴呆とその世話をする人にとって認知機能の低下より精神症を有することはより大きな負担となる。精神症状の性質・頻度は様々であるが、多くの患者では、病気が進むと多くが出現する。
管理に関して、非薬物的なアプローチと薬物的なアプローチが包括的になされる必要性があり、症状の正確な評価、環境の問題、患者に影響を与える治療参加人物の同定なども重要。非薬物的介入は世話をする人へのカウンセリングも重要。
行動変容をもたらすアプローチ:感覚へのアプローチ、環境的安全性確保、食事・運動・睡眠の日常性の維持なども重要。
薬物的治療は、“低用量で開始、ゆっくりといこう”が方針であるべきで、単一薬剤アプローチが推奨される。ターゲットとした行動異常が減少するまで、副作用の耐用可能な用量まで、最大投与量に到達するまで、その用量を補正する。
非定型向精神薬は有効性が大きく、耐用性も高い。二
次治療薬は、従来の抗精神病薬の短期治療である。”


以上、2つをみると、非定型向精神薬の治療に関する論述は、現行の厚労省のおすすめ(薬剤保険適応と警告)と若干内容が異なる。・・・厚労省の姿勢には認知症には絶対使うなという勢いを感じる。

FDA


トライアルからは有用であるという十分なデータはなかったが、17のプラセボトライアルのメタアナリシスをFDAが行い、死亡率増加(OR 1.7)の有意な増加をみとめたという報告もある。(http://www.alz.org/news/05q2/041905fda.asp)


この報告により、痴呆への非定型向精神薬の治療の道がたたれてようなイメージもある。




FDAとCochraneでレビュー結果が効果に関して分かれた格好で、Cochraneに関して副作用事象や有意差があったが、死亡率に関しては結論づけできてない・・・FDAより今回の報告はやや慎重な検討であり、微妙に結果が異なっている。

以下が、そのCochrane Libraryの検討結果である。
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The effectiveness of atypical antipsychotics for the treatment of aggression and psychosis in Alzheimer's disease (Cochrane Review)
http://www.update-software.com/abstracts/AB003476.htm
システミックレビュー:2005年11月15日最終日施行
痴呆におけるある時点でAgression、agitation、psychosisが生じることが多い非定型向精神薬の治療がいくつか試みられており、そのシステムレビューが、バランスのとれたエビデンス評価が必要である。

主な結果:
16のプラセボ対照治験で、9つのみメタアナリシス利用に適し、5つのみがpeer reviewd journalに公表されているに過ぎない状況であった。

aminosulpiride、sertinodole、zotepineに関して採用基準に至るクライテリアに合致する治験を認めない。
risperidone(リスパダール)とolanzapine(ジプレキサ)がプラセボと比較して攻撃性の改善に有意であった。risperidone治療中の患者において精神病兆候の改善が有意であった。Risperidoneとolanzapine治療患者は有意に、重篤な脳血管性イベント、錐体外路症状や他の重篤な副作用アウトカムを生じた。
risperidone(2mg)とolanzapine(5-10mg)治療患者はドロップアウトケースが多い。
このデータは認知機能におけるインパクトを検討するのに不十分な状況である。


結論としては、有効性はあるものの、副作用頻度の有意の増加から考えて、攻撃性や精神症状が強い痴呆性患者に、もし、著明なリスクや重篤なもたらすものでなくても、riseperidoneもolanzapineもルーチンに使うべきものではない。
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ただ、臨床実地上、認知症に関わる攻撃行為は緊急性が高い場合が多い

短期的、単剤投与という条件で、かつ、副作用の厳格なフォローアップということを引き替えに
認可の方向に動いてほしいと臨床実地家としては希望したい

by internalmedicine | 2006-02-21 15:46 | 医療一般  

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