原爆被爆後固形腫瘍の増加は放射線被爆量と線形関係
2006年 03月 01日
甲状腺癌は原爆被爆生存者のうち、その頻度増加が報告された一番最初の固形腫瘍である。乳頭状甲状腺癌の有意な超過がみられるが、ろ胞性、髄様性、未分化癌の超過は認めなかった。放射線量と甲状腺癌との関係で線形関係が認められる。10歳未満での被爆で特にリスクが高い。放射線誘起性甲状腺癌は致命的となることはまれだが、小児における被爆量単位のリスクは他の放射線誘起性悪性腫瘍より高い。
Radiation Dose-Response Relationships for Thyroid Nodules and Autoimmune Thyroid Diseases in Hiroshima and Nagasaki Atomic Bomb Survivors 55-58 Years After Radiation Exposure
JAMA. 2006;295:1011-1022.
甲状腺結節性病変、自己免疫性甲状腺のような甲状腺疾患への放射線の影響は過去50年評価されてきていない。
目的として、甲状腺疾患の頻度と放射線の用量反応関係を、被爆者で評価
デザイン:4091名の70[SD 9]歳、男性1352名の甲状腺研究参加者のコホート
2000年3月から2003年2月まで
メイン・アウトカム:甲状腺疾患の頻度(甲状腺結節性病変:悪性・良性、自己免疫性甲状腺疾患)、用量曲線
【結果】総参加者のうち1933名、44.8%で甲状腺疾患指摘
3185のうち、子宮内被爆、原爆の時に街に居なかったもの、放射線被曝量が不明なものは除外、固形腫瘍の頻度、悪性、良性腫瘍、嚢胞はそれぞれ14.6%、2.2%、4.9%、7.7%
陽性の甲状腺抗体、抗甲状腺抗体、Graves病は、28.2%、3.2%、1.2%であった。
有意な線形の用量依存関係が固形腫瘍、悪性腫瘍、良性腫瘍、嚢胞で認められた(P<.001).
固形腫瘍すべての約28%、悪性腫瘍の37%、良性結節の31%、嚢胞の25%が平均・中央値放射線被爆と相関(0.449Sv と0.087Sv)。
用量依存関係が抗甲状腺抗体、抗甲状腺抗体陽性甲状腺機能低下症、Graves病で認められず(P=.20 、.92、.10)
ALLの頻度の増加が広島原爆の生存者にみられたが、長崎原爆ではみられなかった。
ALLよりAMLのほうが多かった。
http://dceg.cancer.gov/pdfs/ciiabs.pdf
#長崎ではATLとの関係はないのだろうか?
<白血病も線形?>
<ただ、時とともに・・・リスクも少なくなる>
by internalmedicine | 2006-03-01 11:20 | 医療一般