電子聴診器
2006年 03月 02日

詳細は→内科開業医別館
聴診の録音だけでなく、波形の記録、Spectrogramの表示機能があり、面白いのである。
ただ、実際、記録してみると、聴診器のあて具合から始まり、患者の呼吸とのタイミング、体位など・・・再現性を保ったまま再現することが結構難しいことがよくわかる。
聴診などは言ったものがち的なところがあったので、この聴診器の普及は基本診察技術に革命をもたらすのではなかろうか・・・
(Chest. 2003;124:1430-1436.)
内科(IM)と家庭医(FP)の心肺聴診についての教育時間と重要度について調査
1990年台早期と比較
FPに比較してIMが心肺聴診を多く教育。
IMプログラムにおける聴診(心臓:27.1→48%、肺音14.1→23.7%)を含む教育のパーセンテージが増加。
FPレジデントでは増加していない。
<重要性認識>
心臓聴診
http://www.chestjournal.org/cgi/content/full/124/4/1430/F1
肺聴診
http://www.chestjournal.org/cgi/content/full/124/4/1430/F2
これをみると、I音、II音、過剰心音より、弁膜症関係の心雑音を重視しているようである。
私のところで考えてみると、高齢者比率の増加に伴い、確かに、加齢と関連する、大動脈弁閉鎖不全や僧帽弁の機能異常は増えているようだが、それ以上に、心機能に問題有る比率が多くなり、S3,S4などの左室機能と関連有る所見が重視されるべきと思っていたのだが・・
もっとも、S3にしても、心不全への特異性に乏しい。ただし、観察者間のばらつきが大きく、非熟練者のS3は臨床的意義が乏しいが、熟練者に限ればその価値が高くなる可能性がある。
また、肺のcrepitationに関してもPPVが低く、観察者間の開きがある。
(European Heart Journal (2001) 22, 1527–1560)
こういった診察基本技術は日本では、度重なる医師の基本技術料低下により、行われなくなるのだろう。聴診器をまともに扱えない医系官僚や、試験管しか知らない偉い先生方にはわからないのだろうし、ましてや、国会討議もまともにできない国会議員なども・・・
にもかかわらず、学生には表面的な聴診の試験であるOSCEなどを強要しているようではあるが・・・その報酬はないので持続的なスキルアップへのインセンティブは働かないだろう・・・
# 医者に厭世的な気分が広がっている・・・こういう損失は計り知れないものがあると思うのだが・・・(横道にそれてしまった)
循環器系のガイドラインでは、crepitationとまだ記載していることもあり、また統合性がないのではないと思うのだが・・・
223名の呼吸器医師と54名の他科医師で比較した
1988年ACCP年次会合に基づき自由回答
cracklesとralesを連続背肺御
呼吸器科医は、cracklesとralesを同頻度で使用し、不連続性副肺音で、連続性の副雑音記載には用いていない。
それ以外の医師は、ralesという言葉を不連続性複雑音全般に用いている。
とのこと、まぁ仕方ない部分もあるのではなかろうか?
Terminologyが循環器と呼吸器で分断されていては・・・
参照)
呼吸音のカテゴリー
Respiratory Sounds
by internalmedicine | 2006-03-02 11:10 | 医療一般