若年かつ重症慢性閉塞性肺疾患で肺炎球菌ワクチン有効

原著を読まない馬鹿医者がテレビなどで知ったかぶりをすることに腹を据えかねていて

肺炎予防に肺炎球菌ワクチンだとぉぉぉ・・・・?を書いたが・・・

一部訂正しなければならないのかもしれない

肺炎一般に対する肺炎球菌(PPV)の予防効果は確立されてない。ただ、侵襲性の肺炎球菌感染(IPD)に関しては積極的に啓発する必要があるという意図であった。


さて、今回の論文ではPPV慢性閉塞性肺疾患(COPD)の肺炎に関してすべて否定して良いかというとそうではなく、若年の重症気道閉塞を有するCOPD患者には有効である可能性が出てきたとのこと




Clinical efficacy of anti-pneumococcal vaccination in patients with COPD
Thorax 2006;61:189-195
http://thorax.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/61/3/189

【方法】
COPD患者596名(平均年齢 65.8(9.7)、PPVを受けている患者298名)
主なアウトカム測定はCAPとレントゲン上判明した肺炎で、その原因は肺炎球菌か他の未知の原因を979日(20-1454)フォロー
【結果】
58名の肺炎球菌もしくは原因不明CAP、ワクチン接種群25名、非摂取群33名

Kaplan-Meier survival curvesでは、ワクチン介入・非介入にて有意な差がなかった(log rank test = 1.15, p = 0.28)。
PPVの有効性は24%(95%CI 24-54 p=0.333)
65歳未満のサブグループでPPVの有効性は76%(95%CI 20-93 P=0.013)
・重症気道閉塞(FEV<40%)では48%(95%CI 7-80 p=0.076)
重症気道閉塞 かつ 若年者で91%(35-99 p=0.002)の有効性

非細菌性肺炎球菌CAPはわずか5例で、非介入群は

多変量解析にて不明・肺炎球菌CAPのハザード比は年齢補正にて 0.20(95%CI 0.06-0.68 p=0.01)
【結論】
PPVは65歳未満の重症気道閉塞COPD患者のCAP予防に有効。
COPD患者の他の群間では有意差がなかった。



重症COPDの比較的若年者には肺炎予防のためPPVワクチンを勧めることにしたい!
ただし、|老年|or|COPD軽症|では・・・・


by internalmedicine | 2006-03-05 15:51 | 呼吸器系  

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