若年かつ重症慢性閉塞性肺疾患で肺炎球菌ワクチン有効
2006年 03月 05日
肺炎予防に肺炎球菌ワクチンだとぉぉぉ・・・・?を書いたが・・・
一部訂正しなければならないのかもしれない
肺炎一般に対する肺炎球菌(PPV)の予防効果は確立されてない。ただ、侵襲性の肺炎球菌感染(IPD)に関しては積極的に啓発する必要があるという意図であった。
さて、今回の論文ではPPV慢性閉塞性肺疾患(COPD)の肺炎に関してすべて否定して良いかというとそうではなく、若年の重症気道閉塞を有するCOPD患者には有効である可能性が出てきたとのこと
Clinical efficacy of anti-pneumococcal vaccination in patients with COPD
Thorax 2006;61:189-195
http://thorax.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/61/3/189
【方法】
COPD患者596名(平均年齢 65.8(9.7)、PPVを受けている患者298名)
主なアウトカム測定はCAPとレントゲン上判明した肺炎で、その原因は肺炎球菌か他の未知の原因を979日(20-1454)フォロー
【結果】
58名の肺炎球菌もしくは原因不明CAP、ワクチン接種群25名、非摂取群33名
Kaplan-Meier survival curvesでは、ワクチン介入・非介入にて有意な差がなかった(log rank test = 1.15, p = 0.28)。
PPVの有効性は24%(95%CI 24-54 p=0.333)
・65歳未満のサブグループでPPVの有効性は76%(95%CI 20-93 P=0.013)
・重症気道閉塞(FEV<40%)では48%(95%CI 7-80 p=0.076)
・重症気道閉塞 かつ 若年者で91%(35-99 p=0.002)の有効性
非細菌性肺炎球菌CAPはわずか5例で、非介入群は
多変量解析にて不明・肺炎球菌CAPのハザード比は年齢補正にて 0.20(95%CI 0.06-0.68 p=0.01)
【結論】
PPVは65歳未満の重症気道閉塞COPD患者のCAP予防に有効。
COPD患者の他の群間では有意差がなかった。
重症COPDの比較的若年者には肺炎予防のためPPVワクチンを勧めることにしたい!
ただし、|老年|or|COPD軽症|では・・・・
by internalmedicine | 2006-03-05 15:51 | 呼吸器系