同等性・非劣性試験

建設業界も揺れてるが、薬品に関しても、認可に関して、役人の低脳ぶりが・・

<臨床的同等性>
日本では標準薬と同等の有効性があれば、その薬剤が認可された背景があり、“有意差無し”を同等と主張して、認めてきてしまった審査体制がある


研究と称するためには、医学的に意味のある検出したい最小の差Δを設定する必要があり、それを大きな確率で検出できる標本サイズを設定しておく必要性がある(“統計学のセンス―デザインする視点・データを見る目 医学統計学シリーズ”(amazonから))


たとえば、標本数が大きい場合は「医学的に有意でない差」を「統計学的に有意」や、逆に標本数が少ない場合は「医学的に有意である差」を「統計学的に有意でない」とみなされる危険性があると記載されている


非劣性=同等性との誤った説明までなされている事例を経験し、統計に疎い我々臨床医は有意差があるから・・・この薬剤は効果があるとMRさんのプレゼンテーションでだまされることがある
EBM漢方なんてそんなのの集大成だし、アホなことをほざいている大学のおっさんたちも存在する・・・


臨床的意義のあるΔを無視して認可する厚労省の傾向は、特保認可にも現れていると思う。

サプリメントは高価なものはその意義自体が無くなるものがあるとは論文指摘あり

・・・机上の空論認可の厚労省馬鹿役人


非劣性、同等性を評価するランダム化臨床トライアルの質を問う2つの文献が掲載された。

英論文でも、CONSORT statementなどに表明されたような原理原則が守られてないようである。


Le Henanff とcolleaguesは、非劣性と同等性仮説を問う、162のランダム化トライアル
この結果は非劣性・同等性の無く、ITT、per-protocol analysesを行っておらず、結果報告も不適切で、結論をミスリードするとされた。
また、Piaggioら()は、非劣性・同等性トライアルのCONSORTのチェックリストを提唱し、イラスト化した例をプレゼントしている


Editorialでは、非劣性、同等性に関する適応、デザイン、分析、レポート、解釈について議論している。

1)非劣性・同等性の限界域の記載96.3%、しかし、正当性はわずか20.4%
1/4のレポートは小サンプル計算をせず、6.8%は非劣性・同等性特異的な限界域を考慮していない
報告の42.6%で、ITTかITTもどき、per-protocol
結果を信頼区間で示した物は84%
非劣性・同等性トライアルとして十分な報告はわずか33(20.3%)であった
12.1%、4つの報告はmisleadingな結論を呈していた。
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/295/10/1147



2)CONSORT (Consolidated Standards of Reporting Trials) Statement、ランダム対照化トライアルの報告の改善のためのチェックリストとフローダイアグラムを含むもの:http://www.consort-statement.org/
一番の焦点は、他の治療法に比べ他社が優れていると評価する2つの平行したグループをランダム化トライアルであるが、他のトライアルデザインへ範囲が広がっている。

非劣性・同等性トライアルというような特異的なデザインは医学文献では少ない。
出版されているレポートの質は不適切なことが多い。
CONSORTチェックリストにて、代表例を示し、そのオリジナルなCONSORTチェックリストを提示している。
非劣性・同等性報告の改善へ、その価値を読者に正確に評価されるようにとの目的である。
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/295/10/1152


3)Editorial
古典的、平行群間ランダムトライアルのデザインは、2群間の有意差がないという帰無仮説に基づき、overlookしない臨床的な相違(Δ)を同定するという考え方

優劣性トライアルとして参照される場合、帰無仮説を却下して、介入群間の差を示す

一方、非劣性の場合は、プライマリアウトカムに対する特異的な非劣性の区間(-Δ~0)にて、新しい介入が他の介入より悪化しないという片側で検討することである。

同等性トライアルは、2群間に同様の効果が有ることをしめすもので、特異的区間(-Δ~+Δ)
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/extract/295/10/1172




同等性・非劣性の定義
非劣性トライアルは、新しい治療が対照となる治療より悪くないかどうかを決定るすもの。exact equalityの信頼性確立のため、プライマリアウトカムとして、非劣性の事前設置境界(Δ)が定義される。

同等性トライアルは、Δ~+Δ(両端)において治療効果を定義するという面をのぞけば非劣性トライアルと類似している。



非劣性トライアルにおける有害事象の観察治療相違のシナリオ
同等性・非劣性試験_a0007242_1322753.jpg

エラーバーは両側 95% 信頼区間(CIs).

薄い色のところは、劣性領域を示す
A:信頼区間がゼロから左にあれば、新規治療が優れている

B and C:信頼区間がΔより左にあり、ゼロを含めば、新規治療は非劣性だが優位というわけではない

D:信頼区間がΔより左にすべて含まれゼロより完全に右なら、新規治療はすでに非劣性であり、治療による相違性を除外できる
このパズルのようなケースは稀で、非常にサンプルサイズの大きいことが要求されるためである。また、非劣性境界が余りに広すぎるから生じるのである。

E and F:信頼区間がΔとゼロの間なら、その相違は優位でないが、非劣性による結果は結論付けできないものである

G:信頼区間がΔに含まれ、ゼロより完全に右なら、相違は統計学的に有意であるが、その結果は結論付けできない。

H:信頼区間が完全にΔより上なら、新しい治療は劣性である。






<追記>
興味有る分野なので、もうすこし追加する予定

非劣性=同等性とするような記載が、上述の(“統計学のセンス―デザインする視点・データを見る目 医学統計学シリーズ”でも、Webでもみられるがどうも違うようである・・・なんでこんな解説が日本ではまかり通るのだろう。

by internalmedicine | 2006-03-08 11:27 | 医療一般

 

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