上室性頻拍

Clinical Practice
NEJM Volume 354:1039-1051 March 9, 2006 Number 10



【分類】
最も多い頻拍の種類は、リエントリーメカニズムによるもので、その部位により分類






約60%のケースで房室結節リエントリー
約30%が房室リエントリー由来で、副伝導路を介する、心房・心室を直接つなぐ短い筋束である。
心房頻拍は10%で、しばしばfocal originである。発作性・持続性心房頻拍は、心房下リエントリによる、大きな心房切除を伴う心臓手術後に生じる


【鑑別診断】
血行動態安定の持続性SVTの患者は、治療開始前にメカニズム調査を

頻拍に一致した頚静脈a波(三尖弁閉鎖による心房収縮に由来)の拍動が目立つ場合、frog signと呼ばれる。頻拍のrateに一致した頚静脈の拍動である。
洞リズムが温存されておれば、理学所見は正常だが、構造的な心疾患の証拠を除外するよう注意しなければならない




【警告すべき兆候】
QRS幅の広い頻拍
上室性頻拍
 失神・重篤な症状を生じる
 薬剤抵抗性・不応性患者
 薬剤なしを好む患者
早期興奮症候群(上室性頻拍の有無)



【治療】

早期興奮症候群なしのSVTを繰り返す患者では、予防的抗不整脈治療をしなければならない。洞房結節リエントリー型頻拍患者では、主に房室結節遮断に働くベラパミル、β遮断剤、ジゴキシンのような薬剤

このような薬剤で、エピソード頻度減少・重症度減少の恩恵に預かるのは、 患者の30-60%と推定

ベラパミル、プロプラノロール、ジゴキシンのランダム化二重盲検トライアルでは他の薬剤より優れている証拠はなかった。上記薬剤が不満足なら、薬物的なオプションとして、2つの薬剤(房室結節遮断薬剤 と ICもしくはIIIの抗不整脈薬:eg.propafenone、sotalol、amiodarone)の組み合わせとなろう

IC、III抗不整脈のランダム化プラセボ対照治験では、60日のフォローアップで80%までSVTの再発予防が示され、房室結節遮断薬剤よりSVT予防効果に優れているという結果も報告されている(比較研究が無いので、現時点では結論づけ不能(参考文献 * *

ICの安全性にかかわらず、長期治療は推奨されていない、副作用の可能性のためカテーテル・アブレーションは同意患者で選択される

心房頻拍の薬物的マネージメントは対照治験がほとんどなされてない


"Pill-in-the-Pocket" Approach
CCB(ベラパミル 40-160mg):早期興奮症候群のない患者
様々なβ遮断剤、flecainide(100-300mg)
propafenone(150-450mg)

・diltiazem+propanolol/flecainideで2時間以内に80%のSVTの改善との報告
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/37/2/548?ijkey=1073afad3c51040d8a0fff41bcf013b17f098968&keytype2=tf_ipsecsha



【以前のNEJM】
Evaluation of Patients with Palpitations
NEJM Volume 338:1369-1373 May 7, 1998 Number 19


Supraventricular Tachycardia
NEJM Volume 332:162-173 January 19, 1995 Number 3



【以下の不整脈の種類は?】


上室性頻拍_a0007242_156739.jpg


by internalmedicine | 2006-03-09 15:11 | 動脈硬化/循環器  

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