アスピリンや他の解熱鎮痛剤(NSAIDS)は乳ガンリスクを減少させる

アスピリンや他の解熱鎮痛剤(NSAIDS)は乳ガンリスクを減少させる

────────────────────────────────────
Association of Frequency and Duration of Aspirin Use and Hormone Receptor Status With Breast Cancer Risk
JAMA. 2004;291:2433-2440.
・アスピリンや他のNSAIDSの6ヶ月以上使用は301例(20.9%)、対照は345(24.3%) ( [OR], 0.80; 95% CI, 0.66-0.97 for ever vs nonusers)

・逆相関が使用頻度とみられる(OR, 0.72; 95% CI, 0.58-0.90)。ibuprofenはこの傾向は弱い (OR, 0.78; 95% CI, 0.55-1.10 for <3 times per week vs OR, 0.92; 95% CI, 0.70-1.22 for 3 times per week)。

・アセトアミノフェン使用は、プロスタグランディン合成を抑制しないが、乳ガンの減少を引き起こさず。

・アスピリン使用のリスク現象はホルモン受容体陽性腫瘍患者でみられる(OR, 0.74; 95% CI, 0.60-0.93)が、ホルモン受容耐陰性ではみられず(OR, 0.97; 95% CI, 0.67-1.40)
────────────────────────────────────
【結論】アスピリンやNSAIDの常用はおそらくエストロゲン合成抑制に関与して乳ガンの予防的作用をきたす。

大腸癌の抑制効果などもありますが、
この癌抑制のメカニズムは不明と原著に書かれてます。cyclooxygenase阻害効果によるものと想定されますが、Cyclooxygenase-2が催癌作用と関連との考えもありますが・・・

これだと同じNSAIDsでも癌抑制メカニズムがあるということになりそうです・・?


<かなり脱線ですが>
エストロゲンはコレステロールを材料としてつくられるステロイドホルモンであるのでその原材料が増えれば増加する?という仮説が成り立つわけです。
ここをみるとやはり動物由来の食事量と相関があるようです。

食物になると、いろいろこだわる人や団体がでてきて・・・なにが正しいのだか・・・

このような考え方の一代表例として、牛ミルクと乳ガンの関係があります。こちらはコレステロールではなく、IGF-Iという物質に注目が集まっています。

おもしろいのは、“FDAの科学者たちは文献や研究の評価をすることによって、毎日rbGH(recombinant bovine growth hormone)を使用しても消費者には健康リスクの増加がみられない・・・。rbGH治療ではIGF-I濃度を増加させる。しかし、経口毒性の研究では牛IGF-Iはラットにおいて経口活動性を欠く。加えて、rbGH処理牛のミルク中のIGF-Iの濃度は人間の母乳中の生理学的範囲内であり、IGF-Iは乳児での牛ミルク使用では中和される・・・生体内に意味あるレベルに達するほどIGF-Iは吸収されないだろう Science. 1990 Aug 24;249(4971):875-84. ”と書いてあるにかかわらず、この文献を“IGF-I is identical in human and cow. ”の証拠としてかかれているサイトが多いのです。


たとえばここ


インスリン様成長因子が強力なmitogenであり、前立腺癌に関する強力なリスク予測因子であると前向き研究結果 Chan, June M., et al. Plasma insulin-like growth factor I and prostate cancer risk: a prospective study. Science, Vol. 279, January 23, 1998, pp. 563-66

これなどもIGF-Iは確かにそのような作用があるのでしょうが、牛ミルクを飲用したときにどれほどの影響があるのかといえばその答えにはなってないわけです。


Milk and the Cancer Connectionはそのなかでも比較的常識的なサイトなのかもしれません。
“人での研究がなされていない。Epidermal Growth Factorはカゼインの存在下で吸収が阻害されることがわかっている。IGF-Iの血中濃度が乳ガンや前立腺癌のリスクを増加させるに充分になるまで小腸壁を通さないことも考えられる。しかし、大腸癌のリスクの増加を・・・”などとさらにリスクを煽っているのですが・・・


牛乳が一方的に健康的であるというコマーシャルのイメージが強すぎるので妙に反発を感じています。


わたしなどは、人間が生活するのは他の生物を犠牲とするわけで、当然無害ではあり得ないなどと・・・仏教的なことを考えていたり・・

by internalmedicine | 2004-05-26 11:48 | 医学  

<< 前立腺癌の検診でつかわれている... 医療損害賠償保険の破綻近し >>