降圧剤アルツハイマー病予防に効果あり・・・特にカリウム保持性利尿剤
2006年 03月 14日
http://archneur.ama-assn.org/cgi/content/full/63.5.noc60013v1
Arch Neurol. 2006;63:(doi:10.1001/archneur.63.5.noc60013).
【方法】
第1波:1995-1997年の初期多段階評価後、認知症のケースを同定
第2波:3年後同様の評価:104名(生存者3308名中)
降圧治療(ACE阻害剤、β‐遮断剤、CCB、利尿剤)とADの続発リスク
【結果】降圧治療を行うことはADの頻度を減少(補正ハザード比 0.64:95%CI 0.41-0.98)
使用した医薬品サブクラスので利尿剤(補正ハザード比 0.57 95%CI 0.33-0.94)
特異的なカリウム保持性利尿剤は0.26(95%CI 0.08-0.64)
血圧値にてサブサンプル補正後の解析でもこの所見に変化がない
【結論】
カリウム保持性利尿剤がADの頻度を減らすということは新しい知見であった
降圧剤、特に利尿剤を服用することは、アルツハイマー病の頻度低下と関連するかもしれないということがArchives of Neurologyの3月号に掲載。
高血圧はアルツハイマー病(AD)のリスクを増加させる可能性が、論文のback ground information
なぜ、K保持性の利尿剤がADのリスクを減少させるか?
・・・Gothernberg研究という出版されてないデータでも同様な結論である
低カリウム血症が酸化ストレス、炎症、血小板凝集、血管収縮と関連し、これがADの潜在的なリスクとなる可能性があるとのこと・・・
ただ、カリウム保持性なのはACEやARBもそうだから、それだけでは説明不可能では?
降圧剤の種類によっては認知症減少を示唆する知見が次第に集まっている
二次エンドポイントとして認知機能を含む心血管疾患予防トライアルとしていくつかのランダムトライアルがある。、たとえば、Systolic Hypertension in the Elderly Project (SHEP), the Medical Research Council (MRC) trial、Study on Cognition and Prognosis in the Elderly (SCOPE)などで、β遮断剤、サイアザイド利尿剤、ARBなどでは利点が見いだせなかった。
一方、Heart Outcomes Prevention Evaluation (HOPE) StudyやPerindopril Protection Against Recurrent Stroke Study (PROGRESS)では卒中関連の認知機能低下減少効果、特にACE阻害剤(利尿剤適応時の併用時)で卒中患者中の認知症減少効果が認められた。
Systolic Hypertension in Europe (Syst-Eur)トライアルやオープンラベルまで広げると、nitrendipineというCCBもプラセボ比較で認知症(ほぼAD)の頻度減少を示した。
なんだかよく分からないが、降圧剤もアルツハイマー病予防効果がある可能性があるとのこと
もっとも、各種ガイドラインから考えても、心不全とか、肝性浮腫などが合併する高血圧などをのぞいてカリウム保持性利尿剤を第一選択で使うことは臨床の場では少ないと思うのだが・・
今回のデータでは、どのようなケースで適応と考えられ、処方があったのだろう
by internalmedicine | 2006-03-14 10:52 | 動脈硬化/循環器