CD4+ Invariant T-Cell--Receptor+ Natural Killer T Cells



呼吸器疾患の分野というのは、マテリアル入手が困難な為か、他分野の最先端の研究に比べ
基礎的研究が著しく遅れていると感じることが多い。

今回のもそうだと思ったのだが・・・内容を見ると、Th1/Th2バランスドグマにかかわる研究のようである。


CD4+ Invariant T-Cell--Receptor+ Natural Killer T Cells in Bronchial Asthma

NEJM Volume 354:1117-1129 March 16, 2006 Number 11

喘息は、気道の炎症を伴う。喘息気道のリンパ球の免疫組織学的な解析で、 Th2サイトカインを産生するinvariant T-cell Receptorを発現するnatural killer T cellを見出した。

新しく記載された、ユニークなリンパ球サブグループはclassic T細胞やnatural killer cellの特徴を有している。ヒトでは、natural killer T 細胞はCD4、CD8(少数ではあるが)、を発現しているか、CD4/CD8とも発現しない(double negative cell)
多くのnatural killer T cellは、T細胞受容体の高度拘束性のレパートリー、Vα-Jα18(マウス)とVα24-Jα18(ヒト)からなり、invariantT細胞受容体を有するnatural killer T cell(invariant natural killer T cell)と呼ばれる。
nonpolymorphic class I MHC-様蛋白CD1d、抗原提示細胞により発現する、ペプチド抗原というよりglycolipid抗原による特性を有している。
invariant natural killer T cellは大量のTh1-biased cytokine(インターフェロンγ)、Th2-biased(IL-4)を産生し、樹状細胞、natural killer cellやB細胞の機能促進的に働き、通常のCD4,CD8+ T細胞の機能として働く。
このinvariant natural killer T cellのサイトカイン急速産生能力は生得的な免疫発現と関連し、生得・適応免疫反応の能力と関連している。しかしながら、まだ不明なことが多いが・・・

気管支喘息は炎症性プロセスを伴い、IL-4やIL-13を産生するCD4+が気道に多数存在する。しかし、CD4抗原は、class II MHC--拘束性CD4+に発現するだけでなく、新しく同定されたT細胞のサブグループ、CD1d拘束性natural killer T細胞も発現している。
この細胞は、conserved(invariant)T細胞受容体を発現し、免疫調整機能に働く。
中等症から重症持続性喘息の肺CD4+CD3+細胞の約60%はclass II MHC拘束性CD4+T細胞でなく、natural killer T cellである。
Natural Killer T cellはinvariant T-cell receptorを有し、type 2 helper cytokineを産生する。
一方、サルコイドーシスにみられるCD4+T細胞は通常のCD4+CD3+で、natural killer T cellではない。


NKT 細胞はその名通り T 細胞抗原受容体 (TCR) と NK 細胞の発現する表面マーカーを有するリンパ球である
。NKT細胞は、 (1) 多様性の乏しいVα鎖と限定されたVβ鎖からなる TCR (invariant TCR) を介して CD1d 分子により提示される脂質を認識し、
(2) 活性化することで強力な IFN-γ ・ IL-4 の産生能を示す
(http://72.14.203.104/search?q=cache:zUnCHdTNy_gJ:www1.biz.biglobe.ne.jp/~a-found/seikah-0027.htm+CD1d+and+invariant+NKT+cells+&hl=ja&ct=clnk&cd=1&lr=lang_ja)

慢性喘息の肺ではCD4+とCD3+ invariant natural killer T cellが多数存在するが、サルコイドーシスや他の肺疾患患者ではほぼみられない。
CD4細胞表面マーカーを示し、Th2サイトカイン、IL-4、IL-13を産生するが、インターフェロンγを産生しない、通常のCD4+ Th2リンパ球の典型的なサイトカイン特性である
しかし、今回中等症以上の持続喘息で、肺内のCD4+T細胞の63%というかなりの比率で、invariant T-cell receptorを発現しているものがみられ、通常のTh2リンパ球とは異なるものであった。それはCD3+の73%の比率であった。
invariant natural killer T cellは、マウスにおけるアレルギーによる気道過敏の進展に関与しているとの所見に一致している。サルコイドーシスにみられない

サルコイドーシスも喘息もCD4+T細胞を大量に有するが、喘息患者で、T細胞はIL-4、IL-13を分泌するが、サルコイドーシスではではインターフェロンγをIL-4やIL-13より多く分泌する。
invariant killer T cellの比率が多いことは驚くべきこと

invariant natural killer T cellは肺内で90%以上がCD4+細動で、末梢血では約50%がCD4+であることは、このサブグループが肺でrecruitされ、enrichされるということを意味しており、末梢血100倍ものレベルということは、肺がこのサブグループ形成に重要な役割を果たしていることも明らかである。

by internalmedicine | 2006-03-16 11:19 | 呼吸器系

 

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