睡眠時間は長短とも糖尿病のリスク要因 テストステロンとの関係

睡眠時間はどの程度が適切か?・・・寿命との関係は国内外で報告が多数ある。最近は糖尿病・耐糖能との報告も・・・



110万人以上の男女(30-102歳)で調査したところ7時間の睡眠時間の人が一番生存率が長かった。
8時間以上だと寿命が短く、6時間未満でも寿命が短い。その理由は不明。
ただし、個人差が大きいので一概に睡眠時間を7時間を守れとは強要できない。
Arch Gen Psychiatry 2002 Feb;59(2):131-6

というのは、話の導入に、私がたまに使う資料である・・・


睡眠不足は糖尿病、耐糖能異常を促進・・・ナポレオンは長生きしたら糖尿病・・・?


今回のこの論文の新奇内容としては、テストステロンとの関係か?
 ↓

Cardiovascular and Metabolic Risk
Diabetes Care 29:657-661, 2006
http://care.diabetesjournals.org/cgi/content/full/29/3/657

フォローアップ期間にて
短い睡眠時間(<5-6時間)報告男性では2倍
長い睡眠時間(>8時間)は3倍
糖尿病になりやすい

図表


年齢、高血圧前症、喫煙状態、健康状態、教育、ウェスト径補正後もこのリスクは変わらず (RR 1.95 [95% CI 0.95--4.01] for <5 h and 3.12 [1.53--6.37] for >8 h).

テストステロン補正後、両極の睡眠群のリスク変 (1.51 [0.71--3.19] for <5 h and 2.81 [1.34--5.90] for >8 h)出現し、内因性テストステロン値の変化を介する可能性がある。




1)睡眠障害が、コルチゾル増加をもたらし、インスリン抵抗性に影響を与える。
今回の解析でコルチゾル補正によりRRsへ最小の変化しかも垂らさなかったことは、糖尿病リスクへの影響としてはさほど重要でないことを表す
2)交感神経興奮の増加をもたらし、膵臓の機能へ抑制的に働き、耐糖能減少をもたらす。
3)睡眠障害が体重増加・レプチン減少をもたらす
しかしながら、今回の研究では、睡眠時間5-6時間では、腹囲補正にて男性では大きな変化をもたらさなかった。
年齢、高血圧、現行喫煙、関連健康状態、教育が腹囲に加え、男性の糖尿病頻度を3.53→3.12と8時間超睡眠群では関連があった。
4)8時間を超える睡眠でのリスク要因を生理学的証拠としてはないが、測定不能の関連因子による可能性がある。
睡眠障害性呼吸異常、MMASでは測定されてないが、関連因子である。
5)肥満は睡眠障害をもたらし、睡眠呼吸異常は昼間の眠気をもたらし、交感神経緊張、耐糖能異常、インスリン抵抗性、糖尿病をもたらす。
6)他の影響としてテストステロンがあげられる。低テストステロンは肥満・体脂肪分布異常(ウェスト・ヒップ比)、インスリン・糖値異常を含めた糖尿病のリスクと関連。
RRsはテストステロン補正にてウェスト径と逆相関となる。肥満男性に対してテストステロン投与がインスリン感受性改善となるとの報告があるが、議論があるところで、インスリンがテストステロンを調整しているとも考えられている。



馬鹿どもが、男性更年期と騒ぎ立てるのではないかと不安が残るので
 ↓

男性更年期のアンドロゲン補充療法・・・・エビデンス無し、リスク可能性大


ref.)何でもかんでも更年期のせいにするんじゃねぇ・・・

by internalmedicine | 2006-03-16 15:15 | 内科全般  

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