III音は経験とともに

最近、電子聴診器とやらを入手し、耳にタコならぬ、皮膚潰瘍を生じるほど・・・これは赤外線通信が不安定なので購入の際には注意が必要

・・・もうすこしまともな聴診器が日本のメーカーなら出せるような気がするのだが・・・マーケットが小さいからだめなのかな?・・・無線LAN対応やBT対応とか・・・


心音図のほうが、ベテラン医師より正確であり、インターンや研修医よりはベテラン医師のほうが正確というわけで・・・心音図分析機能付きの電子聴診器というのが今後必要と思う。
   ↓
Relationship Between Accurate Auscultation of a Clinically Useful Third Heart Sound and Level of Experience
Arch Intern Med. 2006;166:617-622.

【結果】レジデントとインターンの聴診所見が心音図との一致は有意でない(κ= 0.37 ;P<0.001)。心臓専門医は一致(κ= 0.29; P=.003)
左室機能異常を同定するS3の感度は低く(13%-52%)で、特異度は高い(85%-95%)
心音図やより力量の高い医師ではその特異度がもっとも良好である。

BNP増加、左室駆出率減少、左室拡張期末期圧増加患者の同定にS3を用いることは、レジデント(P=.02-.47)やインターン(P=.09-.64)より専門医 P=.0002-.02、フェローで.02-.03で優れている。


熟練者は 結構 せこいのでじつは心音だけでなく、頸静脈怒張などもちらっとみながら所見にした可能性も・・・というのは邪推か?



以前の報告をみても、やはり感度は低く、特異度が高いという所見は一致している
・流入速度の異常を示す拡張期機能障害の指標としてIII音との関連は認められる。
・駆出率<50%の時の感度51%、特異度90%、PPV 95%、NPV 32%
・EF<30%となると感度78%、特異度88%



ところで、感度が低いので、心不全同定のための診療としてはIII音聴取はEvidence-basedには?・・・となるのだが・・・


III音が聴取されるので、左室機能障害が示唆されるというのはある程度正しいが、III音が聴取されないので心機能は正常である・・・・というのは誤り・・・だなと認識

by internalmedicine | 2006-03-28 09:58 | 動脈硬化/循環器  

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