ω3脂肪酸はすべての人に効果ありとはいかないのだ・・・特保とは詐欺である


「特定保健用食品」にエビデンスはあるのか?
http://intmed.exblog.jp/1572448/
でもふれているが、この特保というのは、薬品に比べれば科学的エビデンスの低いレベルでのまっとうに科学的といえない手法で天下りがいっぱいいる研究機関(血液どろどろの大元を含む)で検討されているのを、右から左に通しているとしかおもえない代物である。

特定保健食品というのは真に効果が科学的に証明されている食品といえるのだろうか?
"期待できる効果・効能について、明らかな科学的根拠"という前提条件に真に見合ったものがあるのだろうか?
・・・食品程度の“薬効”だと薬剤レベルの根拠を示すには桁違いの本来は被験者数が必要なはずであるが、いまだにそういうものに該当する特保をみたことがない。



EPAとDHAも特定保健用食品に利用されている成分で、比較的諸データがそろっているものであるが、それでもすべてに対して効果があるかといえば・・・疑問が生じてきているという論文がBMJに掲載された。


EPAやDPA、DHAなどの長鎖ω3脂肪酸は魚や魚脂に含まれ、冠動脈疾患の頻度減少に関連するというGreenlandのInuit族の研究があり、リノレン酸(ALA)は短鎖ω3であり、ある種の植物オイル(EPAやDHAへ様々変換される)に含まれ、おそらく予防的に働くと考えられている。
ω3脂肪は心血管予防的:血圧・心拍低下、中性脂肪・血栓形成傾向・炎症・不整脈予防、血管内皮機能・インスリン感受性・paraxonase濃度、プラーク安定性の改善につながる可能性
毒性成分、脂肪可溶性メチル水銀、ダイオキシン、polychlorinated biphenylは魚脂にみられる。癌増加との関連も考えられる。


では、ω3脂肪酸は冠動脈疾患以外の人に用いたときに健康への有益性はあるのか?

冠動脈に対するRCTのシステミックレビューで、長鎖脂肪酸ω3のサプリメント的服用により死亡率が減少するというエビデンスがあった。
しかし、今回のシステミックレビューで、長鎖・短鎖ω3(併用・単用を含め)の使用は総死亡率、心血管イベント、癌、卒中に対して参加者が広範となれば有意性は損なわれ、健康への明確な利益があるとはいえないということが分かった。

Risks and benefits of omega 3 fats for mortality, cardiovascular disease, and cancer: systematic review
BMJ 2006;332:752-760
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/bmj;332/7544/752
ω3脂肪は総死亡率、複合的心血管イベント・癌に影響を与えない。
Hopperらは、長鎖及び短鎖脂肪ω3の最低6ヶ月の研究のRCTやコホート研究のメタアナリシス
結果トライアルの不一致性が認められ、プール化推定では、死亡率減少・心血管イベントの減少がω3脂肪酸の付加的摂取により認められた。しかし、ω3摂取とともに癌や卒中のリスク増加という事はなかった。








馬鹿役人や左巻き思想から離れてその真価が客観的に示された食品というのが必要とされると思うのだが・・・・・・政治思想や天下りや詐欺師に利用されてばかりの“健康”食品

by internalmedicine | 2006-03-31 14:42 | Quack  

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